第8話 拉致作戦
第8話 拉致作戦
「どうすればいいの?」
「わたしが精神を支配しているとき、何処かに拉致してくれないか?」
「そんなことできるの?」
「多分、できると思う」
「失敗したら?」
「そのときは逃げろ」
「セイトはどうするの?」
「どうもしないさ。セイタンはわたしの存在を知らない」
「決行の合図は?」
「わたしが、チロの指定した座標に向かう。そこに”精神の檻”を用意してくれればいい」
「精神の檻?」
「銀河バルジで思いついたのさ。チロならできるはずだ。もう時間がないから簡単に説明するよ」
セイトは銀河バルジで何度も迷路を彷徨ったことがある。その度に出口を見つけて脱出したが、もし出口も封印されていれば、脱出は不可能であった。その中の最も単純な迷路で出口が明らかに1つしか存在しない迷路型の出口を封印して檻にしようというのである。こうして、チロは精神の檻を用意することになった。
「国王たちはどうする?」
「一緒に幽閉だな。ベルゼブブとアスタロト、アガリアレプトにサタナキアの他に100人くらいを幽閉してくれないか。幽閉といっても治療も兼ねてだな。もちろん、わたしも治してくれないか」
「その後帝国はどうなるの?」
「国王は長男のアラリがいいだろう。しかし、この子は大人しいのが取り柄だけの凡才だからただの象徴だね。次男は乱暴者だからこいつも幽閉してくれ。3男のサンガが適任なのだが、今行方不明だ」
「あらっ、サンガならわたしのところにいるわよ」
「えっ、こりゃ好都合だ。今、スマルを統治しているナザイギアは前の宰相だったのだが、国王の不興をかって左遷されたのだ。そして、妻は実質的なサンガの乳母なのだ。その縁でナザイギアも極刑になるところをサンガが頼み込んで左遷となったわけだ。サンガは桃の精の5世代目だから、国王とは格が違うよ。国王はサンガにうまく丸め込まれたようだね」
「ということは、わたしたちが拉致したタイミングでナザイギアがクーデターを起こすというシナリオね。そして、サンガがのりこんできてまとめをするというところかしら」
「そうだね。シナリオだけ決めて、後は臨機応変で行こう」
※お詫びと予告※ この章をもって、第1部を完結させたいと思います。引き続き第2部を「脈龍RW1」として投稿したいと思います。尚、「脈龍RW1」の第1部として脈流1章分を1部分としてリライト(1回目)して載せています。読者の方にはご迷惑をおかけしますが、ここでお詫びと第2部の予告をしたいと思います。