第7話 セイトの秘密
第7話 セイトの秘密
二人には、心地よい振動が響き渡っていた。チロとセイトは1つの桃の精が2回精神分割した従姉弟の関係になる。
「チロか?チロだよな。久し振りだな」
「久し振りもないわよ。100億年近くになるのだから」
「それより、凄いぞ」
「何が?」
「分割した精神を元に戻せるかもしれない」
「そんなこと、できるはずないじゃない」
「それが、できそうなのだ」
「まさか、極を対消滅させていないわよね?」
「そ、それは……」
「やっているのね?」
「仕方なかったのだ……」
「それが暗黙とはいえ禁忌だということを知っているわよね?」
「だから、仕方なかったのだ……。それに、わたしたちの望みは神の世界に帰ることだ。そのためにはわたしたちの源の桃の精に戻るしかないじゃないか?」
「狂っているわ。禁忌を侵して神の世界に帰っても神の子の怒りをかったら元も子もないじゃない」
「そのときは、そのときだ」
「ところで、銀河バルジの何処まで行ったの?」
「4,000光年くらいまでかな?それ以上はどうしても行けなかった」
「そのせいで自分が変わってしまったと思わない?」
「変わった?わたしが?」
「そうよ」
「わたしは、マーシーの暴走を食い止めたかっただけだ。それが帝国を生き延びさせる唯一の手段だったのだ」
「で、何かわかったの?」
「脈だ。脈が知能を持っている。だから、わたしは先に進めなかったのだ」
「知能?脈に精神が宿ったの?」
「そんなことわかるはずもない」
セイトは、これ以上何もいうことはないという態度で沈黙した。チロは、何が起こったのか黙考しているときだった。
「チロ、助けてくれ。セイタンは狂っているのだ」
「あなたはセイト?」
「そう、どうやら二重人格になったようだ。わたしは精神の片隅に追いやられて、たまにしか顔をだせない。しかし、セイタンのやっていることは全部知っている」
※お詫びと予告※ この章をもって、第1部を完結させたいと思います。引き続き第2部を「脈龍RW1」として投稿したいと思います。尚、「脈龍RW1」の第1部として脈流1章分を1部分としてリライト(1回目)して載せています。読者の方にはご迷惑をおかけしますが、ここでお詫びと第2部の予告をしたいと思います。