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脈流  作者: 智路
7 セイタン帝国
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第6話 銀河バルジ

第6話 銀河バルジ

 チロは、地球上で知り得る帝国の情報が限られているため、帝国に行くことを決意した。その条件は地球とチロの関係が知られないことであった。チロはセイトと刺し違えることになっても極(脈)の対消滅を食い止めなければならないと覚悟を持ったのであった。できることなら、セイトを説得し、極の対消滅を止めさせたいのだが、そのための情報が少なすぎるのである。

「ねぇ、サンガ。地球とトランティスの相対座標を教えてくれない」

「やはりセイトさんに会いに行くのですね」

「仕方がないわ。ここにいても得られる情報は限られているからね」

「すいません。わたしがもっとセイトさんについていればよかったのかもしれません」

「違うと思うわ。原因はもっと深いところにあると思うの」

 チロは、精神体であるから何万光年の距離でも僅かの時間で移動できる。脈流通信機Ⅱ型と比較しても遥かに速いのである。チロはトランティスから1光年ほど離れた位置に移動してトランティスを視界に捉えていた。

「先に銀河バルジを覗いてみようかしら」

 チロは銀河バルジ(半径は約7,500光年)の中心に向かって100光年、200光年と進んで見た。

「なに、この脈の密度と脈流の唸りは?500光年でこのくらいだと中心部がどうなっているか想像もつかないわ。セイトは何処まで行ったのかしら?」

 チロは1,000光年まで行って、

「これ以上は嫌だわ。どうにかなってしまいそう」

 チロはセイトの変貌の原因はこれではないかと思った。チロは物質界を選んだときから銀河バルジから遠く離れた太陽系で過ごしてきたから、銀河バルジの実態を知らなかったのである。

「問題はいくつあるのかしら?5つかな?1つはセイトの変貌の原因を確定させること。1つは国王の変貌の原因を確定させること。1つは銀河バルジが何故、今頃マーシーを引っ張り込んでいるか調べること。1つは進化の速度が速い原因を調べること。1つはサブユニットが変形している根本原因を調べること。これでいいかしら?」

 相談相手がいないものだからチロは自問自答で問題を洗い出すしか術がなかった。

「1つ目は、直接セイトに会って、後は成りゆき次第かしら。2つ目はわたしだけじゃ無理だから帰ってからサンガに相談することにして、3つ目は調べる方法を思いつかないわ。セイトは何か知っているのかしら?4つ目は他の問題を解決してからね。一番やっかいそうなのが、5つ目ね」

 銀河バルジを中心に向かって進むほど、物質を構成するサブユニットは歪んだり、変形したりしていた。このことによって、銀河バルジは物質と半物質(崩壊過程と思われる)、サブユニットから構成されていた。太陽系には半物質は存在しない。なんらかの理由で物質の形態を維持できなくなったとき、それはサブユニットに戻るだけであった。

 この後、チロはこの僅かな情報を持ってセイトと面会することになる。


※お詫びと予告※ この章をもって、第1部を完結させたいと思います。引き続き第2部を「脈龍RW1」として投稿したいと思います。尚、「脈龍RW1」の第1部として脈流1章分を1部分としてリライト(1回目)して載せています。読者の方にはご迷惑をおかけしますが、ここでお詫びと第2部の予告をしたいと思います。


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