第3話 セイタン帝国の中枢
第3話 セイタン帝国の中枢
「ねぇ、あなたのお父さんの性格を教えてくれる?」
「はい。以前は国民によく慕われていました。温和で慈悲深くて、民の苦情を聞かない役人を厳罰に処したこともありました。それが、8万年くらい前に急に変貌したのです。それと関係があるのかわかりませんが、帝国が初めて恒星間航行を成功させて間もなくのことでした。民に重労働を課すようになったのです。まるで民が死んでいくのが嬉しくて堪らないという感じでした。製作したロボットは暇でロボットの操縦者がロボットの代わりをしていたのです。それを諫める重臣たちもいたのですが、全てが極刑に処されました」
「なるほどねぇ。サンガがお父さんのことを“魅惑的で恐ろしい姿”と言っていたけど、どんな感じなの?」
「そうですね。一言で言えば、“この人のためならいつ死んでも惜しくない“と思わせるような魅力ですか。父に一言”がんばって“と言われたら皆天空に昇らんばかりです。逆に”この人を怒らせたら生きていく場所がない“と思わせるような恐ろしさも持っています」
「モーセはどうだった?」
「確かにそんな気もしたかもしれませんが、わたしたちにはチロさんがいましたから」
「じゃあ、国王の今の側近はどういう人?」
「宰相はベルゼブブで、軍の最高司令官はアスタロトで、その配下にアガリアレプト、サタナキアなどがいます」
「その人たちはここの超人類みたいな超常的な能力を持っているの?」
「はい。失礼ですが、ここの超人類が遥かに及ばないほどの能力を持っています」
ここでモーセが口を挟んだ。
「何回かサタンという名前を聞いたけど、その人は何をやっているんですか?」
「ああ、サタンは父の母船の名前です。この宇宙戦艦は特別仕様なので、他の宇宙戦艦が10隻相手でも敵いません。父はこれに乗ってよく他の恒星系を荒らしまわっていました。おそらく、その中の1回のとき地球に立ち寄ったのでしょう」
「なるほどねぇ。迷惑な話だわ。ところでサタンなら地球までどのくらいの時間で航行できる?」
「おそらく半年か1年くらいじゃないでしょうか」
「速い!いつ襲われてもおかしくないってことね。ところでサンガの兄弟は何人いるの?」
「兄が二人で、わたしは末っ子です。わたしが生まれた後子供ができなくなったそうです。でも、“わしは不死の身体を手に入れたから子供は3人で十分じゃ”と言っていました」
(セイトから何かの強化施術を受けたようね)
「サンガ次第なのだけど、サンガの皮膚片を少しもらえるかしら。ここの人類と比べてみたいの」
※お詫びと予告※ この章をもって、第1部を完結させたいと思います。引き続き第2部を「脈龍RW1」として投稿したいと思います。尚、「脈龍RW1」の第1部として脈流1章分を1部分としてリライト(1回目)して載せています。読者の方にはご迷惑をおかけしますが、ここでお詫びと第2部の予告をしたいと思います。