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第一話

けたたましいサイレンを鳴らして救急車が高校に押し入る。

救助されるであろう男の周りには大勢の人だかりができていた。


男の様子は見たところ体中の体液を流しながら失神している。

彼の隣には彼と親しい間柄だと思われる少女が一人、必死なって彼に

話しかけている。


「お兄ちゃん、お兄ちゃん、起きてよぉ 起きてよぉおおおおおおお!!!!」


くぁwせdrftgyふじこlpくぁwせdrftgyふじこlpくぁwせ


遡ること数十分前、一人の男が人生の岐路に立たされていた。

名前を秋山正という。

正の右手には受験番号が書かれている受験表。

左腕は彼の妹と思われる少女にガッチリホールドされていた。


「ただしぃ美姫hじょ頼むぞ! 美姫が絶対に頼むんほっ!

正ぃ美姫のことみひみにsふぁ」


朝っぱらから酒を飲んで酔っ払っている俺の義父は自分でも何を言っているのか

おそらくわかっていないだろう。

ただ俺の義妹に当たる美姫への愛を気持ち悪いぐらいに感じる。

正真正銘俺の母親の美智子が薄ら笑いを浮かべる。


「兄さん行ってらっしゃい! 美姫ちゃん逝ってらっしゃい!!」


義父と母親の間にできた子供、卓也が俺達を送り出す。

母に抱きかかえられながら愛犬の「犬」も俺達を不安そうに見つめる。

正直この家でまともなのは母さんと「犬」しかいない。


「正兄ぃ。今日で私達も同じ学校だねぇ。」


顔を赤く染めながら美姫が俺に話しかけるが、俺にはその言葉は届かない。

今日という日が気が気でないのだ。

高校までは徒歩で20分程度、家からは近くて便利な高校だ。

人目を避けるがごとく、忍者のように素早い移動を心がける。

癖なんだ・・・音殺して歩くの。俺の家の家柄でね。


高校に着くと合格発表の時間になるまで校門のそばでひたすら瞑想する。

大丈夫だ絶対に大丈夫だ大丈夫だ大丈夫だ絶対に大丈夫だ。そうだ大丈夫だ。

ヒッ、ヒッ、フーとラマーズ法で呼吸を整える。

嗚呼神様。どうかこの私めの願望をかなえて頂きたくお願い申し上げます…


くぁwせdrftgyふじこlpくぁwせdrftgyふじこlpくぁwせ


「それでは発表の時刻となりましたので、正門を開きます。

合格者の番号は校舎前の臨時掲示板に記載してありますので、

 慌てず掲示板の方までご移動お願いします。」

高校の職員と思しき男がそう告げると同時に正門が開かれる。


いよいよ俺の運命が決まる。

間髪いれずに奇声を発しながら俺はダッシュで掲示板へと向かう。

職員の走らないでください&妹のお兄ちゃん待ってを無視し

全運動機能を用いて目的の場所を目指す。


おそらく俺の人生の中で最も真剣な時のひとつに俺史として残るだろう。

合格者発表の掲示板の前に着くと無我夢中で探し番号を探し始める。

大丈夫だ。前の模試では…

大丈夫だ。この前勉強を見た限りでは…

大丈夫だ。日ごろの行いからすると…

幾重の考えが頭をよぎる。


「まったくもう!お兄ちゃんたら私のためとはいっても必死になりすぎだZO!」


妹が俺に追いつき同じく番号を探し始める。

265番…265番…265番…265番…265番…さながら鬼の形相で探す。


200 

204

206

207

209

212

255

ゴクリと唾を飲み込む。

257

259

260

263

264

265

267

.

.

.

.



「お兄ちゃん!あったーーーーーーー」

妹が喜びの声を上げる。


嗚嗚嗚嗚アア嗚嗚嗚アア嗚嗚嗚アア嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚嗚嗚嗚ああああ嗚嗚嗚嗚アア嗚嗚嗚アア嗚嗚嗚アア嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚嗚嗚嗚アア嗚嗚嗚アアアアアアアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああ嗚嗚嗚嗚アア嗚嗚嗚アア嗚嗚嗚アア嗚呼嗚嗚嗚嗚アア嗚嗚嗚アア嗚嗚嗚アア嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

俺は自分でも驚くような奇声を発していることに自分自身が気付いてない。

終わった・・・・・



くぁwせdrftgyふじこlpくぁwせdrftgyふじこlpくぁwせ


次に俺が目を覚ましたのは病院のベッドの上であった。


感想をいただけると本当にうれしく感じます。

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