~いつかの想いを伝えずにはいれなくて~
先輩は今、俺とは反対側の道場の淵で 汗を拭きながらスポーツドリンクを飲んでいる。
そんな姿を見て、俺は思うんだ。 ――やっぱり、先輩は『可愛い』って・・・。
『この想いをこれ以上 隠し通す事は出来ない』 『伝える他、道は残されてないんだ』
――俺はそう思い、先輩の方に歩み寄った。 ――この好きの二文字を伝えるために。
俺:「先輩!!」 ――現在の先輩との距離は約7メートル。
蓮:「何? どうした?」
――そうやって、先輩は少し首を傾けながら俺に訊く。
――俺は先輩の可愛さにテンパって、答えにならない答えを答える。
俺:「あのっ・・・えと・・・ その・・・」
だけど、先輩を呼んでおいて、何も伝えないわけにはいかない。
でも、言葉で伝えるにはドキドキの緊張感が少しも収まらない。
だから、俺は勇気を出して、距離を縮める事にした。
――現在の先輩との距離、 3メートル。
でも、まだ遠い。 先輩との距離を少し感じる。
だから、さらに勇気を出して、一歩一歩 確実に近付く。
――すると、遂に先輩との距離は1メートル・・・もしくは2メートルになった。
――ドクン、ドクン・・・。 ドクン、ドクン・・・。
その距離になって、ますます心音が大きくなる。
だが、俺も男である。 ここで、声を出さずに、一体 何処で出すというのだ?
俺はそう思い、はち切れそうな想いを ついに解き放った―――――。