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四愛 ~人生の価値~  作者: 尖角
-梅の章-
3/22

~俺の思い と 他人の想い~

 ここは 桃源(とうげん)高校2-A。 俺のクラスの中だ。



 そんな俺は今、自分の足で立っている。



 ――久々に自分の足で立っている感覚。



 俺は、夢の中の事だけれども、その事を少し嬉しく思った。











 そんな風に、俺が感情に浸っていると、廊下から俺を呼ぶ声がした。


 「先輩っ! 上条(かみじょう)先輩っ!!」  ――っと、とてつもなく大きな声で。






 俺は、廊下の方を見る。  “誰だ?俺を必要としているのは?”と気にかけながら。





 すると、教室の扉を勢いよくガラガラと開け、ズカズカと廊下から人が入ってきた。




 その入ってきた人とは、学年が一つ下の笹川梅花(ささがわうめか)といサッカー部のマネージャー。



 『なんでこいつが?』  ――確かに、梅花は俺を好いている。それは俺も知っている。



 ――だからと言って、何故 梅花なのだろうか??  俺は、かなり不思議に思った。





 だが、そんな俺に梅花は声を張り上げて言った。



梅花:「やりましたっ!!」

  :「やりましたよ、先輩っ!!」 っと。



 しかし、俺にはその意味が分からず、思わず「はっ!?」っと聞き返す。



 すると、梅花は さらに声を大きくして、叫び散らすように俺に言葉を放った。




梅花:「いやっ、「は?」じゃありませんよ!! 大会の話ですよ!」

  :「先輩、寝ぼけているんですか(笑)?  頭、大丈夫ですか!?」

  :「前に、大会で相手が反則してるって抗議した話ですよ!!」

  :「結局、ハンドしていたかどうかはわからなかったんですけどねっ?」

  :「なんと面白い事に、相手チームはドーピングをしてたんですって!!!」

  :「あははっ! 今の時代にもあるんですね、 ドーピングなんて(笑)」




 『おぃおぃ、何の話だよ!』 っと俺は突っ込みたかったが、止めておいた。


 っと言うよりも、出来なかったんだ。  梅華が急に泣き崩れたから・・・。








梅花:「でっ、でも、よかったれすぅ・・・」

  :「ほんっ・・・ほん・・とうに・・・よかった・・・」



 そう言って、鼻水を垂らす寸前まで来ている。 泣きまくっている。



 だから、俺は 床に崩れてしまった梅花の肩をグイッと引っ張って、椅子に座らせた。




 だが、それでも梅花は泣き止まない。


 むしろ、鼻水をズビッーっと啜りながら、話し続けた。



梅花:「らって・・・」「だって、足が治ったんですよ?」

  :「お医者さんも無理だって言っていた先輩の足が、治ったんですよ?」








 ――なるほど、 そういう設定なのね・・・。


 俺は、あまりにも現実味を帯びているアリスの夢の設定に、少しだけ感動した。


 本当に、少しだけ。   本当に、少しだけの話だけれども・・・。


























 それから数分経って、梅花は涙と鼻水を拭ってから 俺に言った。



梅花:「やっぱり私、ダメなんです・・・」

  :「私、  先輩がいない間、ずっと何かが“足りない”気がしてて・・・」

  :「でも、今 わかったんです・・・私には上条聖馬(かみじょうせいま)先輩が必要なんだって!」

  :「だから、好きです!! 私と付き合って下さい!! 」  っと真剣な顔つきで―――。

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