~もしも、心と身体が別々だったなら~
『もう、俺は何をやっても駄目なんだ・・・』
『俺が何かをしようとしたところで、手遅れなんだ・・・』
『もう、駄目だ・・・ 俺は、駄目なんだ・・・ 俺は・・・』
意識を取り戻した―――夢から覚めた俺の中は、そんな思いで 満ちていた。
――辛い・苦しい・寂しい・・・
そうやって、いくつもの悲しみが、俺という存在を縛りつける。
『もしかしたら、俺の人生は今まで幸せすぎたのだろうか?』
『女子に「キャーキャー」言われて、驕っていたのだろうか?』
――そんな思いが、湧水のように次から次へと絶えることなく溢れ出てくる。
そして、終いに『もう、愛なんかいらない!』『縛られる生活なんか嫌だ!!』と―――。
そう・・・俺の心は、疲れ切っていたのだ。 俺の心は、自由を求め始めていたのだ。
だが、そうは思っても、俺の身体は動かないまま。 縛られたままなわけだ。
だから、やはり俺の救いは夢しか残っていない・・・っということになってしまう。
けれども、 夢から覚める時のあの痛みは、もう二度と味わいたくなんかない。
だから、俺は新たなる願いをアリスに伝えた。
――『俺は苦しくなくて、痛くない・・・ 二度と目覚めない夢が見たい・・・』っと。
なぜなら、 その夢を願ったのは、“夢も信じ込んでしまえば、現実になるから”。
今の足の動かない、生きたくもない現実なんかよりも、 全く自由のない生活よりも、
悲しみなど微塵も生まれない、 二度と目覚めない夢の方が絶対マシに決まってる!!
だから、俺は新しい夢を見せてくれと願うことにした。
――そこには、俺の一番の幸せが眠っているはずだから・・・。