~希望の道は、 いつからか崩れ去っていて~
それは、揺れの所為で、態勢を崩され寝転んだような形になっていたため、
立ち上がって移動をしようと、 その場に手を突こうとした時の話である・・・。
俺:「んっ?」 そうやって、俺は思わず声を上げてしまう。
それもそのはず。 身体を動かそうとしたものの、ビクともしないのだ。
『やはり駄目だったか・・・』 ――それは、俺の頭に一瞬過る言葉。
しかし、“喜んだのも束の間”とはよく言ったものだ。
『この時のために作られた言葉じゃないか!!』 そうとも思った。
だが、そんな一人コントのようなことを話していても仕方がない。
何を言っても、 俺の身体は、重すぎるほど大きな塊に押しつぶされ下敷きになっているのだ。
動かそうにも動かせない・・・ いやっ、正確には、右半身だけが全くもって動かない。
左半身の少しは痛いなりにも頑張れば動かすことが出来る。 だが、右半身は天井に潰されたようだ。
そう思った瞬間、俺の中にはある一つの感覚が蘇ってきた。
――それは、“梅花との夢で、車に轢かれた時の感覚”である。
だから、俺は『まただ』『また、恋の行く手を阻まれた』と後悔を強いられる。
『チクショウ・・・』『俺はただ、俺はただ愛して欲しいだけなのに・・・』
――その思いが、後悔をするたび・・・後悔の気持ちが強くなるたびに心の中をひたすら巡る。
だから、俺は繰り返される後悔により、 俺の見る夢を恨んだ。
――『もし、アリスならばどんな夢を見たのか? 不思議の国に連れてってくれたのか?』
――『あいつは、 愛に関する事なんかじゃなく、冒険だとか奇想天外な夢の方を見せてくれたのか?』
俺は、そうやって自分自身を恨んだ。 これ以上にないくらい恨みに恨んだ・・・。
――もう、苦しいんだ。 もう、何もしたくない。 ・・・何もかもが嫌いだっ!!!
俺の考えも嫌い。 俺の心も嫌い。 俺の夢も嫌い。 俺の恋も嫌い。
何よりも俺の足そのものが嫌いで・・・そして何よりも憎く感じていた。
なぜ、全てがうまくいかないんだ? 何一つ、思い通りにならないんだ?
どうしてなんだ? どうして、俺が“したい”ことは、全てうまくいかないんだ?
――俺はそんな悩みの中で、 もがき苦しみ、そして心を引き裂かれながら意識を失った。