~気付かぬ間に決まっていた、 悪夢の始まり~
俺がそんなどうでもいいような事を考えていると、綾奈はさらに話をしようと口を開く。
綾奈:「ねぇ、今度 2人で映画館にでも行かない?」 っと。
そういうワケで、俺も質問に応えるべく、驚きすぎて乾きかけの口を開くことにした。
俺:「なぁ、とりあえず飲み物でもくれないか?」 っと。
すると、可愛い女の子・・・いや、可愛くなった綾奈は言った。
綾奈:「何言ってるのっ!? わけわかんない!!」
:「目の前に置いてあんじゃん、コップが!!」
:「何!? 気に入らなかった?? それ!!」
言われてから、よくよく机の上を確認すると、 丁寧に氷まで入れられたコップが一つ。
しかも、中身はどうやら俺の大好物であるミルクティーらしい。 本当に嬉しい限りだ。
っと言うわけで、俺は誤った。 見誤ってしまった。 だから、俺は謝る事にした。
俺:「ごめん、 ミルクティー大好きでした・・・」
:「ありがとうございました、 寝ぼけてました・・・」 っと。
すると、綾奈は笑い、そして 吹き出し、 言葉を放った。
綾奈:「ばっかじゃないの??」
:「あんた、そういうところ変わんないよね」 っと。
だが、この褒められてるのか貶されてるのか よくわからない状況に、俺は困るわけだ。
すると、そんな微妙な雰囲気を感じ取ったのか、 綾奈が さらに付け加えて言った。
綾奈:「安心していいよ?」
:「別に、褒めちゃいないからっ!」 っと。
『さっすが幼馴染!』っとしか言いようがないほど、素晴らしい心の読み取り具合。
だから、こいつもアリスと同じく“心が読めるのか”って思えてしまうるほどだ。
だが、こいつはアリスとは違い、普通の人間。 俺のよく知る人物。 妖精ではない。
だからか、 俺は気付かぬ間に、可愛くなってしまった綾奈を好きになっていたらしい。
そして、気が付けば、半強制で好きでもない映画を見に行く事になっていた・・・。
そう・・・しかも、なぜか 俺の“おごり”というわけのわからない感じでだ・・・。
だが、どういう形であれ、“決まった事は変えない”のが男という生き物だ。
だから、俺はなけなしの金を財布に入れて、映画館デートに向かう事にした。