~一番近い存在は、 一番近い愛というもので~
「何、硬くなってるの?」 ――そうやって、誰かが俺に呼びかける。
そんな声により、俺はふと目を覚ましたかの様に、軽くビクッとしてから辺りを見渡す。
すると、そこは女の子の部屋のようで、 何のキャラクターかよくわからないが可愛いぬいぐるみだとか、ピンク色のハート型のクッションだとかが大量にある部屋だった。
そして、そんな部屋の真ん中には小さな丸型の木机があって、 そこで俺と向かい合う形で座っている女の子が一人いた。
その女の子は 俺と同じくらいの歳の子で、 とてつもなく可愛い・・・
ってほどでもないが、 素直に『可愛い』って思う事が出来るような女の子だった。
そんな感じの事を俺が思っていたら、その女の子は『何ジッと見てるの?』『私の体に、何かついてる?』ってな風に体をチロチロとみる女の子。
俺はそれを見て、『“可愛い”って眺めてた事がばれたか!?』と少しだけ思った。
だが、そんな俺には、実は そんな事よりも気になる事があったのだ。
それは、『この子が誰なのか?』って事・・・。
俺はその事が気になり、頭の中で必死に“検索”を始めた。
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だが、見つからない。 そう、これっぽっちも、見つからない。
しかし、1回目の夢で出てきた梅花も、2回目の夢で出てきた蓮先輩も俺のよく知る人。
だが、この女の子は・・・? ――残念ながら、全く持って記憶にございません!!!
そう・・・全然わからないのだ・・・。 だが、そんな俺に女の子は言った。
女:「けど、実際 聖馬と付き合う事になるとは思ってもいなかったよ」
そう言って、女の子は口元に手をあててクスクスと笑う。
だが、聖馬こと この俺の中では、一つの叫びが谺する。
――いやっ、その行動は可愛いよ? とっても可愛いよ? だけど、お前誰だよ!?
っと、一つの疑問がぐるぐるぐるぐるぐるぐる・・・と永遠に渦になって周り続ける。
だが、そんな理解不能の闇に堕ちた俺に、追い打ちをかける様に女の子は喋り続ける。
女:「でもね? 昔は2人で一緒に遊んだりしたじゃん?」
:「いろんな場所に出かけて、いろんな遊びをしたりしたじゃん?」
:「でも、中学に上がった頃からかな?」
:「私達はいつの間にか、会話する事がなくなっていた・・・」
:「家が隣同士で、いつでも会いに行こうと思えば会いに行けたのに・・・」っと。
『んっ? 待てよ?』『待つんだ、 焦るんじゃないぞ?』『おいおい、待てって!!』
『なっ、こいつ、今、 「家が隣同士」って言ったよな? 確かに、言ったよな?』
『って言うと、 隣って言うと、綾奈の家じゃねぇーか!! ありえねぇよ!!!』
『この可愛い子が、綾奈だと? 正直言って、ブスだったんだぞ? 綾奈はっ!』
『なのに、こいつが・・・この可愛い子が あの蘭 綾奈と言うのか?』
『おいおい、世の中、残酷すぎるだろ? 幼馴染が知らぬ間に可愛くなっているとは!』
――それ故 俺は思うのある。
『“女は恐ろしい生き物だ”とは、よく言ったものだ! まさしく言葉通り!!』っと。