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三章

一本道を進んだところを少年は歩いていた。今度は無言で。ひみに言われた道とは何かということを考えながら。歩きながら考え込んでいた少年は気づかなかった。あるヒトに待ち伏せされていたことに。

「あ~あ、せっかくジョーカーが忠告してくれてのを無駄にしちゃって。」

「誰!?」

上から声が聞こえた少年は、また聞いてしまった。ひみに注意を受けたばかりなのに。そして、聞こえた上の方を見てみると、木の上に男のヒトがいた。男は黒いスーツを着て、シルクハットをかぶっていた。まるで昔のロンドンに居そうな紳士のような格好だった。紳士のような格好をしている男が木の枝の上に座っている姿はとても違和感しかなかった。

「あ~、俺はジャックだよ。工藤さつき君?」

恰好とは裏腹に、砕けた言葉を使った男はジャックと名乗った。その言葉遣いなら、木の上に座るというヤンチャも納得できそうである。

「何で、僕の名前を…?」

そう、少年はジャックに名乗ってないのである。そのため、少年の名を知るはずがないのだ。少年は少しおびえたようにジャックへと尋ねた。さすがに、そこは疑問を持ったようだ。

「工藤さつき君は人間だろ?聞こえてきたんだよ。」

また、人間…そう少年は思ったが、それより気になることを聞いた。

「そんな大きな声で言ったっけ?」

そうなのだ。ひみに対して名乗った時にしか名前を言ってないのだ。それを知っているということは、その時の声が聞こえたということ。しかし、その時の声の大きさは、普通の声の大きさだったのだ。山は声が響きやすいとはいえこの場所まで聞こえてくるだろうか?普通の大きさだと思っている声が意外と大きくって聞こえて来てしまったのだろうか?などと考え込んでいるとき、ジャックは言った。

「まあ、まあ、それよりも、これから工藤さつき君はどうするの?」

少年を誤魔化すようなことを言った。そして、少年はジャックの思い通り、

「どうするって?」

さっきまでの思考を止め、違うことを考え始めた。それを見たジャックはニンマリと笑みを浮かべて、

「帰るか、死ぬか。」

と言い切った。

「死!?」

「まあ、冗談だけど」

「冗談!?」

少年は二回とも驚き、素直に反応を示していた。それを見たジャックは楽しそうに興味深そうに言った。

「お前、面白いね。」

「僕は疲れた。」

少年は疲労を滲ませながら言った。楽しそうに言うジャックに非難しているのだと示したくて。

「クックック。疲れたら、これを食べるといい。」

そう言って反省した様子の無いジャックは木に実っていた木の実を、どこから出したのかわからないナイフで取り、木から降りて少年に渡した。

「ありがとうございます。」

木の実を渡された少年は、ジャックの言うと売り疲れていたので木の実をかじろうと口を開けた。その瞬間、鈴の音が一際大きく鳴り響いた。うるさすぎて一度手を止めて顔をしかめた少年だが、キレたり走ったり歩いたり突っ込んだりしていたためとても疲れていたので、鈴の音を無視して木の実を一口かじった。木の実を飲み込んだとたん鈴の音が鳴りやんだ。何だったんだろうと、少年、いやさつきは、首をかしげていた。そんなさつきの様子を見たジャックは、

「話が変わるんだが、ジョーカーに何か言われた?それ信じないほうがいいよ。」

と心配そうな顔をしながら言った。

「ジョーカーって誰?」

しかし、さつきは、ジョーカーというヒトを知らなかった。

「最初に会ってただろ?あいつだよ。まあ、そいつの言うこと信じなくていいよ。何てったって人間を大量虐殺した犯人なんだから!」

ジャックは脅かすようにさつきへ言った。そして、さつきは、あのヒトが…と思って「えっ!」と声に出して言ってしまった。ピエロのような格好をしたヒトが殺人を犯したとは思えなかったから。それに、僕に忠告めいたものを言ってきたくらいだから優しいヒトだと思っていたのだ。

「怖いだろ。人を操るなんて朝飯前なのさ!」

じゃあ、優しいヒトだと思ったのもジョーカーの意のままだったのかな?それに、こっちに来るように操られていたのかな?さつきは、感でそんなことを考えていた時、もう一つ教えられた。

「それに、ひみの占い。あれは嘘だ。」

「え!?」

今まで悩んでいたのは何だったの!とさつきは思った。ジャックの一言でそんなことを思うくらいさつきは、ジャックのことを信頼し始めていた。

「意味深なことを言って、それは当たらない。だから気にしなくていいのさ!」

そんなことをジャックから聞いていたさつきは、ある一つの疑問が思い浮かんだ。

「何でひみさんと会ったこと知ってるんですか?」

その疑問にたどり着くまでが遅すぎるぞ!

「最初に言っただろ?聞こえたって」

そんなことも言っていた、けど…

「それでも無理が「それに、此処に入れるやつはみ~んな“特別”なんだから!」

また、はぐらかそうとしている。素直なさつきも二度目だから引っかからないと思ったが、

「“特別”…」

特別と言われたことが気になってそれどころではなくなったようだ。さつきの素直すぎることや一つのことを集中して考えてしまう癖がやばいのか、ジャックのごまかしの技術がやばいのか。どちらかな?いや、どちらも、かな。

「もちろん君も“特別”だよ。」

「僕も!?…でも」

さつきは、最初にあったジョーカーというヒトに言われた言葉が気になっていた。

「ここに“入れ”たんだからもちろん君も特別さ!それに、俺の言葉は疑わなくてもいいよ?何てったってガーディアンだからね!」

「そうですよね。」

さつきは、ガーディアンというのがわからなかったが、親切にしえくれたからジャックを信じた。ガーディアンのことを、ガードという言葉の変形みたいなのが入っていることから守るヒトかなとさつきは考えていた。

「そうさ!次はこっちの道に行くといい。その道で君の特別が見つかるかもね。」

分かれ道でお話をしていたので、ジャックが進んだ方が良いと言う道を指で指した。

「わかりました。ありがとうございます。」

さつきはジャックを信じジャックにお礼を言ってから教えてもらった道へ進んで行った。それを笑顔で見届けたジャックは笑顔のまま言った。

「素直だね。此処には居ない“特別”だね。アッ!レオンのほうに誘導すればよかったな~。久しぶりのヘマかな?でも、その前にジョーカーに見つかりそうだったからいっか。…大丈夫だよ工藤さつき君。君がこの山が嫌になって死にたくなったら、俺が一思いに殺してあげよう。このジャック・ザ・リッパーの名に懸けて首を一かきでね?………そうだ!次は、ひみと一緒に会いに行こう!その時までまだ生きてたら、多分、もっと面白くなる!」

手に持ったナイフで遊びながらそう呟いたジャックは、足取り軽く木の上を駆けた道を今度は地面を歩いて戻っていった。


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