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序章

暗闇が広がる部屋に一つだけ机があった。机は部屋の真ん中にポツンと置かれている。まるで机にスポットライトが当たっているかのように一筋の光が差し込んでいた。そんな机しかない部屋に足を踏み込んだヒトがいた。コツコツと靴の音を鳴らしながら机のそばまで歩いて行った。光の当たるところまできたとたん靴の音が変わった。机の上にあるのは無数の人間の写真。そして机の周りにあるのは、これまたいくつかの人間の写真。下に落ちている写真には全員の顔の部分に、赤い×のマークが書かれている。それらの写真を気にせず踏みつけたことで足音が変わったのだろう。結局ヒトは、最後まで下の写真を気にすることなく、机の前まで歩いた。机の上にある何も書かれていない人間の写真を見渡して、一つを手に取り、

「今回はこれにしよう」

と、不気味な笑みを浮かべて言い放った。手に持っている写真を机の上で掲げ、手を離した。写真は、机の上に落ちることなくそのまま浮かんだまま停止していた。ヒトは、そんな不可解な写真に興味を示すことなく、まるでこれから楽しいことが起こるかのように笑みを携えながら部屋を出ていった。

写真の裏側も不可思議だった。通常写真の裏側は、白や黒の無地だろう。しかし、この部屋にある写真は全て幾何学模様を模したものが書かれていた。まるでトランプの数字がかれていない側のような模様だ。

ヒトがいなくなった部屋に一つだけ変化があった。机の上に浮かんでいる写真の絵が変わったのだ。最初は、都会で撮られた一人の人間の顔写真だった。ヒトがいなくなった瞬間、人間の顔や表情、服装は何も変わらずに背景が変わった。まるで森の中で撮られた写真のように木々が生い茂る中撮られた写真のようだった。

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