お前を愛するつもりはないと言う人と婚約なんて出来ません
主人公の暴言が中々酷いです。あっさりと終わります。
「クローディア、俺はお前を愛するつもりはない。」
「では婚約解消して下さい。」
両家で決められた婚約者と初めての顔合わせの場で、ロイド・ナーカシー侯爵令息に愛するつもりはないと言われたクローディア・ハーバ侯爵令嬢はすぐさま婚約解消を要求した。
「…っ。」
「聞こえませんでしたか? 婚約解消して下さいと言いました。」
無言のままでいるロイドにクローディアは再度同じ言葉を繰り返した。
「…何故だ?」
「いやいや。何故だ、と聞くのは何故ですか?」
「…お前を愛せない事がそんなにも気に入らないのか?」
ロイドの言葉にクローディアは片手を振りながら呆れた様子を見せた。
「あのですね、普通に考えて下さいよ。そんな事を態々口に出してくる人と結婚なんて嫌に決まっているではないですか。ナーカシー令息の感性ってどうなっているのですか?」
クローディアの言葉にロイドは渋い顔をした。
「…これはお互いの家にとって利益のある縁だ。愛情の有無で決められる事ではないだろう?」
「だから何ですか?」
ロイドの主張を物ともせず、それが何かと言わんばかりにクローディアはロイドを睨み付ける。ロイドはそんなクローディアに困惑する。
「私はただ、面と向かって“俺はお前を愛するつもりはない”だなんて堂々と言ってくる人と結婚したくないと言っているだけです。それにナーカシー令息の話は拒否権のない政略結婚の場合の話ですよね? 私達の婚約は強制ではありませんから、私はお断りします。」
「…い、いや…だがっ…。」
「何が不満なんですか? ナーカシー令息だって愛せない私と結婚しなくてすむのならそれで良いではありませんか。寧ろ、婚約解消を望んでいたのではないのですか? 何にせよ、これでこの話は終わりにしましょうよ。」
「まっ、待ってくれ! 俺は婚約解消したいとは思っていない!」
話は終わりだとばかりに席を立とうとするクローディアを、ロイドはどこか焦ったように呼び止めた。
「……はぁ!?」
そんなロイドの態度に、クローディアは疑問と威圧を含めた声を発した。そんなクローディアの声にロイドは少し驚いた様子で固まった。
「…訳が分からないのですけれど、何なんですか?」
「っ、…こ、この婚約は両家にとって利益がある。だから、解消するべきではない…。」
先程と変わらぬ主張をするロイドに、クローディアは堪忍袋の緒が切れたように口調を荒らげ始めた。
「…ハッキリ言います。私、ナーカシー令息に愛するつもりはないと言われた時に、何だコイツ…頭イカれてんのか? と思いました。」
「っ!? い、イカれてる…だと?!」
「えぇ、それと利益だなんだと言って愛するつもりのない私と婚約解消したくないと言い続けるナーカシー令息の事を、気持ち悪いとも思いました。」
「き、気持ち悪い…だと!? お前、何だその言い方はっ!!」
クローディアの自分を侮辱する言葉と態度にロイドは耐えられず怒鳴り返す。しかしクローディアはそんなロイドに怯まずに睨み返した。
「当たり前でしょう!? 私の行いに何か問題があってナーカシー令息が私を恨んでいるのならばそう言われる事があっても理解できました。でも私達、今日初めて顔合わせしたのですからそれはあり得ませんよね。それなのに何故、会ってそうそういきなりそんな事を態々言われなくてはならないのですか?! それに、この婚約は利益はあっても強制ではないと私は父から聞いております。ナーカシー令息はこの婚約が強制だとでも言われたのですか?」
「…いや、その。」
クローディアの勢いに押された様子のロイドは気不味そうにした。
「強制ではないと理解しているではないですか。それならもう婚約解消で良いですよね! いきなり愛せないと言ってきた事も、愛せない私との婚約解消を拒否するのも理解出来ません…頭イカれてて本当に気持ち悪いです。」
「っ、そ、言い方をしなくても…。」
「…気持ち悪い。」
クローディアの最後の言葉は思わず口に出た、といった様子であった。そんなクローディアの態度にロイドは流石に傷ついたような顔をした。
「っ、お、俺は別にお前を傷付けようとした訳では…。」
「ストップ! 理由は言わなくていいです。どうせ婚約解消しますから興味ありません。あとずっと言いたかったのですが、さっきから私の事を“お前”って…何度も言いますが私達は初対面ですよ。ハーバ令嬢とでもお呼びください、一体何様なんですか?」
「っ!」
クローディアの真っ当な指摘に、ロイドは言葉を詰まらせて固まる。しかしロイドのプライドなのか、全く謝罪してくる気配もない。
「…本当に気持ち悪い。」
クローディアの呟きはロイドの耳に入ってきてしまう。ロイドは顔色を悪くさせながらもクローディアを睨みつけるがクローディアは呆れたようにロイドを見た。
「私は初対面から“お前”だなんてマナーのない呼び方をしない。“お前を愛するつもりはない”だなんて口に出さない最低限の常識のある方と結婚したいです。ナーカシー令息の考えや思いは理解出来ませんししませんが、私は絶対に貴方と結婚したくありません! 気持ち悪い。」
クローディアはそう吐き捨てると、ロイドに背を向けた。ロイドはクローディアの物言いに何か思う事があったのか後を追って来なかった…。
その後、クローディアは父親であるハーバ侯爵にロイドとの会話を全て話すと侯爵は怒った。すぐにナーカシー侯爵に文句を言いに行くと、ナーカシー侯爵は素直に謝罪した。そして婚約解消にも素直に応じてくれた。ナーカシー侯爵が素直にロイドの非を認めた様子を見るに、ロイドに対して思う事はあったようだ。そんなロイドが跡取りであり、利益の為とはいえクローディアの婚約者にと考えたナーカシー侯爵に対してクローディアは、やっぱり頭イカれてるし気持ち悪いなと思うのであった。
ツッコミどころも多かったと思いますが楽しんで頂けたら嬉しいです。ロイドが何を思って愛するつもりはない、と言ったのかはご想像にお任せします。でも、理由は何であれ、普通はあり得ませんよね 笑
最後まで読んで下さりありがとうございました! もし宜しければ評価して頂けると嬉しいです!




