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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

永遠悪夢ノ結末は

この物語はある日見た悪夢をベースにしています、そこそこグロいかもなのでご覚悟を

私は病室のベットで目覚める

横には見知らぬ少女

人形と花に囲まれ妖精の如く美しい彼女は眠っている

「だれ…?」

そう聞こうと思い問うと、返事ではなく扉が開く

「失礼します!」

入るは男、またも知らぬ人物

そもそも私は誰なのかモヤがかかり思い出せない

「あなたは?」

そう男に問う

「私は依頼人ですよ、あなたに私の妹を助けて欲しいのです」


「妹?」


「はい、私の妹は今かの〇〇の姫に捕まっております。」


何かもわからない、この時代に姫などと

いや今はいつだろうか病室には情報がない

「姫?なぜ捕まっているのですか?」


「これを見てください」

そういい彼は1枚の紙を見せるそこには


-君の妹はボクがもらうね、永遠にボクのもの

返す気はないけれど、もし挑む気があるなら

ここに来るといい、それともボクの下につくなら

妹にたまには会えるかもよ?面白い物語を頂戴な-


紙にはその文と地図がある

「君は妹を助けたいってことでいいのかな?」


「はい、ですが1人で挑むには相手が悪い、そこで仲間を探しているのです」


「なぜ、病室にいる私なのですか?他の人の方が戦力にはなると思いますが」


病室のベットで寝ていた私はどこかが悪いのだろうか、それすらもわからない、そんな者に助けを求めて来るなど酔狂な他にない


「あなたは…」


そう言いかけたところで私の隣は動く


「…ちゃん、起きてたの?おはよ…」


そう彼女が起きたのだ、妖精の声は美しくその目は宝石のように青く輝いている


「ああ、助手殿もおはようございます、こちらを確認してもらえますか?」


そう言い彼は彼女に先の紙を渡す


「うん、だいたいわかったよ、…ちゃんどうこれ受けるの?」


なぜか私の名前は聞き取れない、名前はあるようなのに、この二人は知っているのに私は知らない、そんな私はその姫とやらには勝てない、彼の妹を助けることはできないだろう、そう断ろう


「うん、私にしか出来ないから」


私の意思とは裏腹に声は依頼を受ける、なのに私は驚かない


「じゃあ、準備して明日には向かおっか!」


彼女は微笑み、彼は安堵して微笑む


我々は知識を借りるため協力者のもとへと向かった

丘の上の一軒家、聞こえるのは鳥の囀りのみ

「はーかーせー!」


助手とやらの少女が呼ぶ


「はいはい、何のようですかな?おや…様とロゼ穣ではありませんか」


どうやら彼女の名は"ロゼ"というらしい

「博士、彼のために君の知恵を貸してくれ」


「ええ、…様の頼みとあれば、私の知恵はあなたのためにあるのですから」


「なぜ私にそこまでの忠義を?」


「あなたはあの〇〇の姫にただ一人対抗できるお方ですので、それに私は…」


そう言いかけた時空間にノイズが走った気がした


「そんなことより博士、これからこの人の妹さんを助けに姫の城に行くんだけど、何かいい方法はない?」


ロゼがそう問うと博士は何かを取り出した


「これを持って行ってくだされ、これは私との通信機になりますひとまずあなた方は姫の下につくふりをしてもらい逆転の時を狙います」


「あんな奴の下につくのか!」


依頼者は激怒する


「落ち着いてくだされ、ひとまずです、まずは妹殿の無事の確認と連れ出す準備が必要です」


「確かに一理あるな、だが私は姫と敵対しているのではないのか?」


私がただ一人姫に対抗する者なら、姫からすれば懐に入れるのは自殺行為に等しいはず、私を下につけるとは思えなかった

「大丈夫かと、姫は力こそあれど知恵は回らない、たった一人の敵が情に流され、私の下についた、などと考えるでしょう」


「そういうものだろうか…」


「そうだよ…ちゃん、そうやって姫を欺いて私たちは依頼をこなしてきたんだから!」


ならそれこそ対策や学習をしていそうな者だが姫はそれほどの馬鹿らしい


「わかったよ、ひとまず姫の城へと向かおう」


そうして我々は博士の道具の入ったケースを持って姫の城の前に向かった


「ここが姫の城か」


「うん、ついに入っちゃうんだね…」


ロゼの言い方からしておそらく我々は姫と戦っているものの城に入るのは初めてらしい、あの無邪気なロゼが少し緊張しているようだ


城は大きく周囲には自然が広がっていた、禍々しい城に似合わずに、まるで取ってつけたかのように

しかし私はそれに疑問を持たずに中へと向かった


「姫よ!私たちはあなたの配下となります!なのでどうか妹に合わせてください!」


依頼者が城のホールで言い放つ

すると奥から一人の少女が歩いてくる

黒いドレスを身に纏った黒髪の少女が


「やあやあ!少年!来てくれると思ったよ!でもこの子たちを連れてくるのは予想外だ〜!これは面白くなりそうだよ!」


博士たちの言う通り、姫は我々を警戒していない、むしろ楽しんでいるようだ、よほどの余裕なのか馬鹿なのか…


「妹は、妹は無事なのか?」


受け入れられたことに安堵する二人を置いて彼は姫に問う


「うん!無事だよ、ボクがお気に入りの子を傷つけるわけないじゃない」


そう言い姫は指を鳴らす

すると奥から牢屋、いや大きな鳥籠がゆっくりと飛んでくる、そこには一人の少女の姿があった


「センカ…おい!無事って言ったじゃないか!」


彼は激怒する、それも無理はない…

姫は妹は無事であると言った、だが鳥籠の中の彼女の目は虚でありその背中には大きな翼が縫い付けてあった、翼の付け根は血で赤く染まり悲しくも美しいグラデーションとなっていた…


「だから無事だって、ボクの人形としてはだけど!」


とても人のすることではない、子供を攫い鳥籠に閉じ込め、背中の肉を剥ぎそこに鳥の翼を縫い付けるなど


「妹はお前の人形なんかじゃない!センカはみんなの幸せを願ういい子だったのに!」


「うるさいなぁ!君たちはボクの配下なんだから、ボクのすることにとやかく言わないでよ!」


姫が怒り手を2回叩く

次の瞬間彼の、依頼者の上半身は崩れ落ちたいやくっついてはいるのだ、ただ腹が裂けた、文字通りに

まるで気に入らない人形を引っ張り裂くように


「ひっ!」


ロゼの怯えた声が漏れる


「姫よ我々は配下として何をすればいいのだ?」


私はひとまず残された妹を助けたい、死んだ兄のためにも、だから今は姫の言う通りにするしかない、博士に賭けてみよう


「君たちは聞き分けが良くて助かるよ!そうだなぁ、人形にするにはもったいない、君たちはとりあえず身の回りの世話でも頼むよ!」


私たちは姫の言う通りにするため廊下の掃除を始めた


「…ちゃん!逃げようよ…私たちは姫をなめてた、あんな力があったなんて」


「残念だがそれは難しいだろう」


「何で?入っていた扉か窓からさ!逃げようよ!」


「それが出来ないんだ、扉は姫が出てきた時に閉じる音がした、窓は1階には格子があって、2階からは降りれば足が折れる高さだ、降りられても逃げることは無理だ」


「じゃあ…私たちはもう…」


ロゼが絶望したその時、持ってきたケースから音が鳴る


「聞こえておるか?」


どうやら博士からの連絡のようだ


「ああ、聞こえている」


「ロゼ穣!どうされましたか!ひとまず現状を教えてくださいませぬか?」


わたしは博士に妹のこと、依頼者のこと、そして今私たちが置かれている状況を話した


「そうでしたか、どうやら姫のことをなめたいなようですな…」


「私たちはどうすれば…助けてよ博士!」


ロゼの悲痛な声が心に刺さる


「任せてくだされ!そのために私の知恵はあるのです!ケースの中にもう一つ道具があるはず」


私がケースを調べると何か4本の棒が束ねられ立っているリモコンのようなものがあった


「これは?」


「それはマインドジャッカーといって受けた相手の思考を乱すことができるのです」


「姫の思考を乱してどうすると?」


「…様の記憶通りなら扉には鍵はない、なのに鍵の閉まった音がした、ならそれは姫が何かの力でしめたと言うことすなわち姫の思考を乱せば扉が書く可能性が高いのです」


なぜ思考を乱すと力が切れるのかがわからない

もし一度でも鍵をかければもう一度力を使わないと開かない扉なら意味はないはず


「心配なさらなくてもよいですぞ、このジャッカーは相手の思考を乱すだけでなく、簡単な命令であれば事前に設定しておけば聞かせることができるのです」


「なるほど、それなら姫の妨害を防ぎ扉を開けるということか」


「なら!助かるんだね!」


ロゼが少し希望を取り戻す、そして私はマインドジャッカーに扉を開けという命令を入力する


その瞬間


「なに、それ?」


恐怖を煽る声がする

そうあの姫である


「ひっ」

ロゼの声が漏れる


「へぇ、やっぱり君たちは人形にする価値もないみたいだね、わかってたとはいえガッカリだ、ロゼ君は綺麗だから人形にしたかったんだけどなぁ〜」


そう言いまた手を2回叩く、あの力を使う合図だ

私とロゼは自身の体を確認する

しかし何も起こらない、体に傷はない


そう思った瞬間誰かの悲鳴がした

そう持っていたケースから


「君がこの子達の協力者かぁ、誰か二人以外にいることは知ってたんだけど、それがどこの誰かがわかんなかったんだよねぇ〜」


そう言って今度は指を鳴らす

すると姫の前に映像が流れる


「なっ!」


「ひっ!」


思わず驚くそこにあったのは私たちの持っているケースと対をなすケースから伸びる無数の針が博士を貫いている姿だった…


「これでチェックメイトってやつだ」


私はロゼの手を引き走り出すあの扉へと


「あらら」


予想外だったのか姫との距離は離れていく


扉までの最後の廊下ここを抜ければ出口だ

そう思った時、ロゼの手が私の手から抜ける


「…ちゃん…いやだよ…!」


その声に私は立ち止まり振り向く

そこには目から血を流すロゼの姿があった


そしてその奥から姫が歩いてくる


「ロゼ!しっかりしろ、なにが…」


「なにがって?ここにおいてボク以外に死因はないと思うけど?」


そうロゼはもう…


「何でこんなことをする!お前は何なんだ!」

そして私は誰なんだ…教えてくれロゼ…


「ボクは悪夢の姫、だよ?君が君たちがずっと邪魔してた悪夢の姫さ、葵ちゃん?」


そうだ私の名は"(あおい)"ロゼと二人で探偵をしていた、各地で人を攫う悪夢の姫を名乗る少女を追っていた、その途中で傷を負い病院にいたんだ


「何で…今になって思い出すんだ…」


「なに?ほんとに忘れてたの?困るなぁ脇役が自分の役割を忘れてくれちゃ」


脇役?なにをいって


「そう、わ・き・や・く、ボクの物語の脇役さ」


いま私の思考を読んだ…のか?


「うん、ボクの舞台だ、ボクの物語だ、脇役のセリフは全部筒抜け、君たちが脱出を狙ってるのもわかってた、まぁ思考を読めるのは声を聞いた人だけだけど」


だから博士の正体がわからなかったのか…


悪夢の姫が私の頬に手を当てる


「ねぇ葵ちゃん、思い出したならボクの望む結末に導いてよ?ちゃんとさ?」


「ボクはずっとずっと続けるよこの世界をボクの望むハッピーエンドのために」


ハッピーエンド…?

「ふざけるな!これのどこがハッピーエンドなんだよ!」

そう言い姫に殴りかかろうとした時

腕が熱くなった、拳は虚しくも届かない…いや届くはずの拳が、腕がなかったのだ…


「痛いのは嫌いなの、そろそろ次に行こうか」


その姫の声は私には届かない…

私の腕が床に転がる


私は理解ができていなかった、手を叩いていないのに攻撃を受けていたその(現実)に


次の瞬間私の視界に映ったのは見慣れた下半身だった

そう私の下半身…私の胴体は真っ二つに切られていた

現状を理解する前に姫は私の首を切った


どこからか取り出した大剣で…


そして私は目覚めるあの病院のベッドで

隣にはロゼがいる


ロゼ…生きていたのか?また会えてよかった

そう言うつもりだっただが、私の声は


「だれ…?」


私の意思とは別で声が出た

すると扉が開いて男が入ってきた

あぁ依頼者か…

「あなたは…?」

知っているのに、また前に言ったことのある言葉を放つ、繰り返している?

だが少しだけ違った

その少年の腹は裂けて血を流していた

だというのに、私はいや私だけでない彼自身も傷なんてないように接している


そしてロゼが目を覚ます、だがその目に光はない元々綺麗であった青い瞳は白く濁り血の涙を流し白い瞳を血で赤く染めていくまるでキャンパスのように

だがまた誰一人として気にしない


その後も全身に穴の空いた博士に出会っても過去のやり取りをするだけだった


あとは知っての通りケースを受け取り城に向かい、姫に会い、妹が出てきて、兄が裂かれ、博士が貫かれ、ロゼが呪われる、そして私は首を落とされる


そして病院で目を覚ます


あぁもう何度目だろうか…何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も繰り返している、生と死を


この悪夢を…

また悪夢の姫に首を落とされた

あぁまた病院か、そう思った私が目覚めたのは

知らない列車の中だった外にはなにもない、ただ線路があるだけ


「これはどこに向かっているんだ?」


そう誰にも届くことのない問いをする

返事はない、ただ死んだ彼らの姿が映る腹を裂かれた男が、全身が針に貫かれた男が、色を失った目から血を流す少女が私に笑いかける

どこかもわからない列車の中で

だか私は知っているこの線路はどこにも向かってなどいない


前の線路はない…いや列車が進むたびに新しく生まれていると言うべきか…

そして前の線路が生まれるたびに後ろの線路は消えていく、まるで記憶のように


さっきはなにもないと思った外にはあるものが見えた、私の記憶だ…繰り返したあの記憶、終わることのない悪夢が外に見える、その記憶が形を変えて線路になっているんだ…


「「ボクの望むハッピーエンドのために」」


姫のセリフを思い出す

彼女にとってのハッピーエンドとは何なのだろうか…

ただわかるのはそれは私たちにとってはバッドエンドなのだろう


いや私にはエンディングなんて来ないんだ…この列車に乗って時に眠りあの世界に行く、そして無数の死を受けてまたここで目覚める誰もいない列車の中で


永遠の悪夢の中で私は生きている

過去は消えない…あの悪夢は私の現実、姫にとっては些細なことでも繰り返した全ての世界は私にとって人生そのもの、ずっと心に残り続ける、私の意思が消える日まで


ロゼは私が作った虚像なのか、それとも姫が作った脇役なのか、それとも現実にいた私の友人なのか

もう私にはわからない

ただどうかロゼだけは幸せになってほしい


悪夢の姫よ…お前かハッピーエンドを望むなら

私が脇役なら…私はロゼの人生(ストーリー)のハッピーエンドを願うよ


この想いが届くかは知らない

ただ私はこの永遠(トワ)の悪夢の結末を、望むよ



そして私はまた眠りにつく…



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