巨大な竜
…
「やめてっ!」
エピの声が会場に響く。声量は少女が出せる限界のそれだ、でも、エピの心からの言葉は会場全体が注目するほど響き渡っていた。
それを聞いた竜も、ゆっくりこちらに振り向くと、僕らの前から飛び去っていった。
敵意は感じなかった。いや、あれは何かを確かめに来ていたようだった。
竜の去ったあと、学園長がおりてくる。
「学園長! あの竜は!」
「あれはルビードラゴン、古代よりこの国に住まう守り神……。あれが動き出したか」
独り言を言う学園長は何かを考えているようでもあった。そして僕らに語りかける。
「あの竜は、その娘を求めて来ているようだったが……?」
僕はエピのことを話そうかどうか一瞬迷ったが、聞かれたことだけを答える。
「わかりません。しかし、あのドラゴンとエピが何か関係があるのですか?」
「ふむ、その娘、生まれは?」
「いや、その……、わからないです。つい先日出会って、記憶もなくしているみたいで」
「なるほど、そうか……。主人公チームよ、本日の試合見事であった。諸君に特別課題としてルビードラゴンの調査を命じる。明日旅立つがよい!」
急な課題に僕たちはなんとか返事を返すことしかできなかった。