80:未完の商会 (2019.12.8-2020.7.22)
解説がクソ長い上に途中までっていう問題作。
ついに来ちゃいました……未完成の作画がっ!
無謀な挑戦をして、途中であきらめたと言うか力尽きたと言うか……。
とにかく未完成のイラストになります。作画工程が途中まで掲載されてますが未完成。完成させる気力は残念ながらございません(;一_一)スマン
それでは当時の製作記事をどぞ( ^^) _旦~~
********
今回から背景画の製作日誌をつけていきます。
今回描くイラストは半年以上前に描き始めたのですが、力尽きて止まっていました。
製作日誌をつけてUPすることで、なんとか完成までモチベーションを保つ計画。
イラストの挿絵は、『薔薇騎士物語』の中の【1章第5話 チャンセラー商会】に挿入する予定です。
物語は主人公がチャンセラー商会に行って、店主と会話しているシーンとなります。
主人公のアトレーユと、チャンセラー商会の店主です。
彼等の背景となる商会の店内を描きます。
店のラフはこんな感じ。
ファンタジーな雰囲気のお店を描いてみたくて、結構がっつり描きました。
小物がたくさんあるから大変そう……。
ラフ画に彩色をしました。
こんな感じの色合いで作っていく計画です。
主線を引いたものがこちら。
3分クッキングばりにあっという間のようですが、これをやるだけで力尽きてしまったという……。
ここから完成まで仕上げていきます。
今回はここから製作日誌をつけていくので、パースの解説などはまた次のイラストの時にする予定です。
さてさて★
半年以上放置していた背景画、うまく完成できるでしょうか?
次回もお楽しみに(。-`ω-)
~~~~~~~~
背景の主線ができたら、ここから彩色に移ります。
ベースとなるのがこの線画。
ラフ画の彩色イメージはこちら。
これをもとにどんどん塗っていきます。
まずは不要な物を非表示にしていきます。
現在のレイヤーフォルダはこんな感じ。
作業しやすいように家具やアイテムごとにフォルダに分けており、それぞれの主線は各フォルダの中に入れてあります。
最もベースとなる背景の線画のみを残して、他を非表示にしました。
床を塗ります。
タイルの線を非表示にすると塗り残しがあるのがわかるので、これをベタ塗りペンで塗りつぶします。
床の色をラフ画に近い色に変えます。
ラフ画を開いてそこから色を直接彩色することも可能です。
ラフ画をペイントソフトで開く → ラフ画から色をスポイト → 作業中の画像に戻る → 編集 → 線の色を描画色に変更
良い感じのカボチャ色になりました。
互い違いになるように、タイルに茶色を彩色しました。
下色をラフ画と同じようになるように、塗りました。
塗り残しの無いように。
壁紙部分の質感を作っていきます。
まずは範囲を選択。
壁紙のレイヤーを選択 → 選択範囲 → 色域選択
このボックスが出たら、緑色の部分をスポイト。
※参照するレイヤーを全てのレイヤーにもできますが、似たような色が他のレイヤーにもある場合、それら全てが選択されるので、特に限定して塗りたい場合は選択されたレイヤーのみにしておく必要があります。
今回はテクスチャを使っていきます。
範囲を選択した状態で、画面のこの矢印をクリック。
隠れているボックスが出てきます。
ツールパレットにのってない素材やテクスチャ、トーンなどはここから使用できます。
今回はテクスチャを使用するので、単色パターンというフォルダをクリック。
単色パターンの中のテクスチャから、キャンバス地を選択。
単色パターン → テクスチャ → キャンバス地
パターンを選ぶ時に、下にあるトーン化のボックスをチェックするとトーンとして使用もできます。
カラーパターンの場合、色付きのものがトーンとして使えるようにモノクロに変換されます。
テクスチャもトーン化設定で線数を設定できます。
テクスチャのまま貼るとこんな感じ。
トーン化して貼るとこんな感じ。
よりパキッとはっきりした模様になりました。
今回はトーン化したテクスチャを使用します。
テクスチャを画面にドラッグします。
選択した範囲にテクスチャが貼れました。
レイヤーの一番上層にテクスチャのレイヤーが作成されます。
※選択範囲が解除されます。まだ同じ範囲を使う場合は再選択しておきます。
選択範囲 → 再選択
貼ったテクスチャを回転させます。
四角形の角の部分にカーソルを持ってくると、矢印が出るので左右に回転させます。
トーンやテクスチャはそのままのレイヤーだと色を変更できないので、新しいレイヤーに貼り替えます。
レイヤー71を作成しました。
レイヤー71を作ったら、キャンバス地のレイヤーに戻って、下のレイヤーに結合のアイコンをクリック。
通常レイヤーのレイヤー71に、キャンバス地の模様が貼れました。
レイヤーを合成したら、作業しやすいようにレイヤーを移動させます。
変な場所に置いておくと後でわからなくなってしまうので、アイテムごとのフォルダに片づけます。
レイヤーを選択 → 挿入したい箇所までドラッグ
レイヤーを移動したことで、壁の上部の飾り部分にキャンバス地が被っていたのが、修正されました。
キャンバス地の色を変えます。
編集 → 線の色を描画色に変更
こんな感じになりました。
このままだとまだのっぺりしているので、更に加工します。
キャンバス地で塗った部分を色域選択で選びます。
ドライガッシュで塗っていきます。
選択範囲が複雑で細かいと、どんな感じで塗りができているのかわかりづらいので、プレビュー画面を参照しながら描いていきます。
こんな感じになりました。
拡大するとこんな感じ。
まだなんだかのっぺりしているような感じがするので、同じ手順で濃い目の色も塗りました。
ここで全体の色味がなじんでないような感じがしたので、キャンバス地のレイヤーの合成方法を乗算にします。
全体的に落ち着きました。
ここでちょっと質感表現の比較。
別作品の『だってマッチョが好きなんですもの!』の、【男の風呂だってセクシーです!】第5部の作画で、床の表現にドライガッシュとキャンバス地を使っているのですが、今回とは違う描画法でした。
ドライガッシュのブラシの設定で、紙質をキャンバス地に変更して塗ったのがこちら
こちらの方がよりアナログっぽい感じですね。
今回のキャンバス地を直接貼るやり方だと、キャンバス地の模様がしっかりと出るので、印象がかなり変わります。トーン化や色味の問題もあるかもしれないですが、より細かい凹凸のある質感といったところでしょうか?
今度は天井の質感を作っていきます。
ネットで無料で拾った水彩のブラシを使用します。
Juwa水彩/透明
レイヤーは焼き込み(リニア)で合成
全体に塗るとこんな感じ。
消しゴムツールで先ほど塗った部分を加工します。
これもネットで無料で拾ったものです。
キラキラカケアミ消し
こんな感じになりました。
全体ではこんな感じ。
ちょっと壁紙の色が濃いかなと思ったので、レイヤー濃度を調整。
調整しました。
さてさて。とっても長くなったので、今回はここまで。
背景は油彩ブラシや水彩ブラシとかで、自分で一から質感を作り上げていくのもいいですが、色んなツールを使って質感を表現していくのもまた面白いです。手順を変えることで、微妙な変化が生まれたり、1本のブラシでは表現しきれないものも作る事ができます。
この作品は様々な手法で描いてみて、結果どういったものに仕上がるのか。その研究発表のようなものなので、今後もいろんなツールや手順で描いていくつもりです。皆さんはどの質感がお好みでしたでしょうか?
それではまた次回!(*^-^*)
~~~~~~~~
ベースの背景を仕上げていきます。
ラフ画の彩色イメージがこちら
前回はここまで塗りました。
まずは床の質感を仕上げていきます。
ダウンロード素材を使います。
作業中の画面の右上にある矢印をクリックして、このウインドウを出します。
ASSETSで素材を探すをクリックします。
ダウンロードできる画像素材のトップ画面に出ます。※掲載の都合上、一部画像を加工してあります。
ちなみにCLIP STUDIO のトップ画面からも、この画面に行くことができます。※左下の赤丸で囲った部分。
今回は大理石のテクスチャを探すので、検索ボックスに大理石と入力します。
CLIP STUDIO の公式の大理石の素材があるので、これをダウンロードします。
欲しい素材を開くと、この画面になるので、ダウンロードのボタンを押します。
色んな素材やブラシがあるのですが、この画面で製作者の方が使用例や使い方などの解説をしている事があります。
ここを読んでから各素材やツールを使うのがおすすめです。
ダウンロード中はこんな風にでます。
素材のデータの重さによっては時間がかかったり、うまくダウンロードできないことがあるので、ここをクリックすると詳細を見る事ができます。
ダウンロードが終わったら、作業中の画面に戻ります。
ダウンロードした素材やツールは、ダウンロードのフォルダに入ってます。※素材単体で入る事もあれば、あらかじめフォルダに入っている素材集もあります。
ちなみに水色で囲った部分は、私が自分で作成したフォルダです。
ブラシや素材、グラデーションマップなど、ダウンロードしたものの種類によって分けてあります。
各フォルダの中も、更に細分化してどこに何があるのかわかりやすくなるように管理してあります。
早速ダウンロードした素材をドラッグしてフォルダの中にしまいます。
素材 → テクスチャ → 石 → 大理石
ダウンロードしたらこのように整理整頓しておかないと、せっかくダウンロードした素材が行方不明になります。検索もできますが、何をダウンロードしたか私は覚えていられないので、このようにしてます。
早速段ロードしたテクスチャを床にはります。
床の部分だけを選択した状態で、テクスチャをドラッグ。
大理石のテクスチャが貼れました。
このままだと下地の色が全く見えないので、レイヤー濃度を下げます。
今回はテクスチャの色自体は変更しないので、他のレイヤーと合成はしません。
テクスチャのレイヤーの合成方法を覆い焼き(発光)にします。
床の質感が完成しました。
今度は柱の部分を仕上げていきます。
これもダウンロードしてきた、木目を描けるブラシツールです。※CLIP STUDIO公式
ダウンロードしてきたブラシを使用する場合は、ツールパレットに移動してから使います。
どのブラシのツールパレットでもいいので、画面のようにドラッグします。
新しいブラシがツールパレットに追加されました。
まずは色々試し書き。
1回のストロークで複数の線が引けて、それ自体にうねりや掠れがありますね。
ただ起点が同じだと、せっかくのブラシの変化が単調になってしまいます。
また画面の途中から描くと、起点の部分が不自然な始まりになってます。
自分の描きやすいように、ブラシの設定を少し変えます。
赤丸で囲ったスパナのアイコンをクリックすると、ブラシの詳細設定の画面が開きます。
入り抜きの設定を変えます。入り抜きとは描き始めと描き終わりの事で、この設定を変える事で描き始めと描き終わりのブラシ濃度やブラシサイズが変化します。
ブラシ濃度のチェックボックスにチェックしました。
抜きの値を大きくしました。
ブラシ濃度が変化する度合いがここで変わってきます。
ブラシを調整する前と後です。
描き終わり(抜き)が薄くなっているのがわかりますでしょうか。
起点を変えたり、上や下からストロークしたり、描き終わりを途中につけたりして、木目に変化が出るように描いていきます。
板の上の部分は木目が横向きになるので、不要な木目を消しゴムで消しておきます。
先ほどとは別のレイヤーに横向きの木目を描きます。
線がいくつもあるブラシなので、同じレイヤーだとどうしても線が被るので、別レイヤ―で作業する必要があります。
木目を描き終わりました。
全体ではこうなります。
油彩ブラシで、ベースの色味にも変化をつけます。
濃い目の茶色、青系の灰色、薄目の黄色などの3色を、それぞれ別レイヤ―で描画しました。
木目と合わせた全体がこちら。
色鉛筆で仕上げる為に、主線のレイヤー濃度を下げて作業します。
主線はフォルダの中で管理しているので、フォルダを選択した状態で濃度を下げます。
これで中に入っているレイヤーの濃度が全て変更できます。
色鉛筆で主線を引き直しました。
真っ直ぐな直線よりも、少し柔らかさがでました、
クリーム色の色鉛筆で木目にアクセントをつけました。
青味のある灰色も使ってます。
梁や柱が完成しました。
今回はここまでです。
まだ中途半端な感じですが、あとは家具や小物を置いてから最後に仕上げていきます。
陰影についても、最後の仕上げにやった方が全体のまとまりがつけやすいので、こちらも最後になります。
それではまた次回!
~~~~~~~~
背景ベースの次は、家具をどんどん仕上げていきます。
こちらがベース。
家具の主線を表示するとこんな感じです。
※背景の入っているフォルダごとレイヤー濃度を下げて表示してます。
とりあえず塗っていきましょう。
ベタ塗する場合は、主線以外の背景を完全に非表示にしておきます。
背景を表示して色味を確認。
家具を一つ一つ順番に仕上げていくつもりでしたが、ベースの色塗りだけは先にやろうと思い直して、他もベタ塗しました。
背景を非表示状態で確認すると、ちょっとはみ出たりしてますね。
消しゴムツールで端を綺麗に整えます。
主線を非表示にしてみると、まだ全然ガタガタですね……。
フリーハンドで直すよりも、直線ツールを使って線を引いた方が綺麗にできると気が付きました。
色域選択で範囲を指定して、影の部分に油彩ブラシで木目をつけます。
全体的に木目をつけました。
色鉛筆ブラシで縁どりをして、輪郭をはっきりとさせます。
背景を表示させてみると……ちょっと浮いた感じになってますね……。
影を濃くして、ハイライトを足しました。
全体でみると、やはりまだ浮いた感じがします。
棚の下色を柱などと同じ暗めの茶色に変更しました。
全体でみると、なじんだのがわかります。
油彩ブラシで木目っぽくなるように塗っていきます。
青味がかった茶色、黄色がかった茶色などで木目を作ります。
色鉛筆ブラシで影やハイライト、縁を作っていき仕上げます。
次は手前の棚を塗ります。
範囲を指定して、スプレーブラシで柔らかく濃い茶色を塗ってハイライトを作り、艶やかな質感を出します。
色鉛筆ブラシで輪郭をフリーハンドでなぞっていきます。
上から下へ描くのがやりやすいので、絵を回転させながら描きます。
ハイライトもつけて、より輪郭をはっきりとさせます。
棚の脇のこの部分を範囲選択します。
折れ線選択を使いました。
範囲選択した場所を、ベタ塗ツールで塗ります。
塗った色のレイヤー濃度を下げると、透明なガラス風になります。
レイヤーの合成方法を覆い焼き(発光)にしてハイライトを入れます。
これは太さの異なる色鉛筆ブラシで、筆圧を弱めにしてつけました。
お次はこちらのカウンターを塗ります。
これも艶やかな質感の家具にするので、スプレーブラシで柔らかく色を載せます。
色鉛筆ブラシで縁やハイライトをつけます。
中央の縦のスジは、ブラシサイズを大きくした色鉛筆ブラシで塗りました。
色鉛筆ブラシはブラシサイズを大きくすると、独特の風合いになります。
そのままだと寂しかったので模様をつけました。
こちらはフリーハンドで適当に。
お次は画面右にある、赤い壁掛けのボードです。
木枠をつけるのに、直線ツールの長方形を使いました。
ブラシサイズを少し大きめにして、角の丸さにチェックをいれます。
こんな感じで、ボードの枠が描けました。
油彩ブラシと色鉛筆ブラシで木目をつけます。
コルクボードっぽい感じになるように、カケアミブラシの雲ガーゼを使います。
レイヤーの合成方法は乗算。
ボードに貼りつける紙を一枚作りました。
この紙をコピーして貼り付け、適当な位置に配置します。
レイヤーがコピペした分、追加されてますね。
同じ大きさのままだと味気ないので、横向きにしたり、大きさを変えたりして変化をつけます。
それぞれに文字を書いたり、色味をつけたりして、ボードの雑多な感じを表現します。
画面右半分の家具が出来ました。
やっとここまで来ましたね。
とはいってもまだ左半分が残ってます。
そして家具が終わっても、その後は小物をたくさん配置しなければいけないのでまだまだです。
完成できるように頑張っていきます!
********
……ってここで終わりなんです!すまん!(≧◇≦)
なんというかもっと効率のいい描き方があると思うんだ。背景作画は初心者で、どこから手をつけていいかもわかってなかったもんで。
2021年くらいからようやく背景についての勉強を始めたんだけど、当時はそういう勉強もせずに手探りでした。やっぱり色んなやり方を学んでからの方が、迷いも少なくなるし、完成形を意識しながら描けるから、モチベーションにも差が出ます。
このチャンセラー商会の絵は薔薇騎士物語本編の挿絵なので、今後別の絵で作画予定です。今の描き方だと厚塗りで線画が目立たない感じの絵なので。構図も変える予定です。
このラフ画のものは未完成ですが、新しいチャンセラー商会をお見せできるように頑張りますね。
それでは次行きましょー!