44:FAその30 【『にじ』は『ウィンドウ』の向こうに】(2019.8.26)
FAを描くには読解力も必要なんです!
そもそも文章の映像化って、難しいんですよ。画力と表現力、そして読解力が必要です。
それでは当時の製作記事をどぞ( ^^) _旦~~
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作品:【『にじ』は『ウィンドウ』の向こうに】
作者:石河翠様
https://ncode.syosetu.com/n7102en/44/
窓にもたれかかる一人の青年。
美しい青い空。飛行機雲がたなびいてます。
見るからに爽やかで、でも彼の憂いの表情が気になってきすね。
是非ともこちらの作品をお読みになってみてくださいね☆
さてさて☆
こちらの石河翠様の作品、実はリポグラムという手法で書かれているのですよ。ある特定の文字を使わずに文章を書いていくのですが、その制限のある中で、美しい世界を作り上げていっている作品です。その筆力の高さはもうすごいの一言!
さてさてさて☆
作品の素晴らしさは当然のことなのですが、どのようにそれをFAにするか。
作中で使われている言葉の一つ一つが、ハッキリとこれはこういうものだ!と指示しているわけではないんですよね。そこをきちんと読み解いていくのが大事ということです。
>左手首の針が、空へ向かってほぼ重りあった。
こちらの表現は飛行機に乗って主人公の恋人が帰国してしまうというところにでてきた一文です。
最初は腕時計の針が窓の外に向かっているのかな~と思ったのですが、これ時間が正午頃で短針と長針が重なり合う時間を示しているんですね。多分。なのでFAの人物の時計もその時間帯に。
>壁紙の、雲のプリズムが揺れる。
この表現、大好きなんですよ。美しい響き。ん~でも一体どういうことなんだろうと、理解力の乏しい私には難問w
多分ですけど、窓から差し込む光が、雲によってその様子が変化するのが壁紙に映っている、そんな様子かなぁと解釈。いや、解釈なんぞしなくとも、この言葉だけでもはや美しいのですけれど。
大好きなこの表現をFAに入れ込みたい、そう思ったのです。
窓にもたれかかっている登場人物は主線のみ。窓の外の青空が一面を埋め尽くしています。でもその青空は雲一つない快晴ではなくて、輝くような白い雲が散らばっているんですね。雲のプリズム、その言葉と、空の向こうに想いを馳せる主人公の気持ちをここで表現しました。
人物をしっかり色付けして、窓の外の世界と主人公のいる室内とをはっきりと隔ててしまうと、この抜けるような広がっていくような感覚が失われてしまうのでこのようにいたしました。FAを見る人がその空の向こうまでも見通して心を飛ばせるようにしたかったんです。
作品名の虹も勿論いれてあります。
でもあからさまに主張するのはわざとらしいので、そっと端のほうにかすかに。
少しはこの作品の美しい世界を表現できたかな?
読み解くのが楽しく、それを一つ一つFAの中に宝物のように散りばめて、こちらのFAとなりました。
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当時の自分には翠様の美しい文章を映像化する能力が足りなかった(;´∀`)
もっとうまくできたんじゃないのかと。作品にあった表現をするには、多くの表現方法を知らなきゃいけないし、画力もあげなきゃいけないし、何より正しく作品を理解する必要がありますね。
人物のみを描くのと、作品の世界観を表現することでは、圧倒的に世界観の方に対して読解力が必要になるのだと思います。
それでは次いきましょー!
製作記事の中で解説の為に、一部小説作品の文章を引用させていただいております。
石河翠様作、『リポグラム短編集〜『あい』を失った女〜』、44話目【『にじ』は『ウィンドウ』の向こうに】(小説家になろう 2019年7月9日投稿)より引用