22:FAその8 【海栗みたいな貴方と私】(2019.6.29)
「有」の中での「無」の表現。
確かにそこに存在するのに、どうしてそこに「無」を感じられるのだろう。
作品の世界観を壊さないように作画する。FAだけでなく挿絵にも言える事ですが、これが中々に難しい。
世界の捉え方は人それぞれな所がありますが、それでもやはり絵を描くことでよりその小説作品を表現したいと思うのが、描く側の人間として思うところ。
この回は特にそれを実感した回でした。
それでは当時の製作記事をどぞ( ^^) _旦~~
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【インド人とウニ企画】の投稿作品、トキタウニ様へのファンアートとなります。
作品:【海栗みたいな貴方と私】
作者:トキタウニ様
https://ncode.syosetu.com/n1054fp/
この作品はとっても文学的という感じがしました(雨音はそこまで文学わかりませんがw)
題名からしてコメディっぽいのを連想していたのですが、とっても切なく情緒的な作品でございます。
気になる方は是非とも作品をご覧になってみてくださいね!
さて、この作品の世界観を壊さないようなFAとはどんな描き方だろう?
やはり真面目に油彩風かなと(別に他の画風が不真面目という事はないですがw)
色味は暗めの藍色を基調に、二人きりで寝室にいるイメージですね。
あまりはっきりと描いてしまうと色々と問題になるのでw布を纏わせたり、ぼかしたりしております。
構図はヒロインが正面を向いているのはすぐにイメージができました。
彼女の自分を守るために身に着けた「無」になるということ。それを表現しております。
たいしてヒーローは彼女に縋るような仕草と眼差しですね。彼の苦しい心の内を表情に滲ませてみました。
彼等の温度差というか見ている世界の違いを、一つの絵の中に出せたらいいなと思い、このような構図と表情になっております。
使用しているブラシは基本的に油彩のブラシで、普段は色ごとにレイヤーをじゃんじゃん重ねるのですが、油彩ブラシは色を混ぜた方がいいかなと思い、肌なら肌のレイヤーとそこまでレイヤー分けしておりません。
とにかくこの青みがかった絵での肌の質感は難しかったです(;´Д`)
色がちょっとでも濃いと変な影ができるし、ハイライト強すぎてもなんだか変だし。
そのバランスが油彩は難しいなぁという感じです。
なんとか誤魔化し誤魔化し、ようやく完成★
下の布の部分はレイヤーを別にして、加算発光だかなんとか発光だかの合成方法にして、光らせておりますw(適当な説明w)
そのままだと若干のっぺりするのが、発光するレイヤーを重ねると深みが出る感じがしますね☆
この絵で最も気を使ったのはヒロインの目でした。
一度投稿した後に、目が気に食わなくて修正して再度投稿しておりますw
彼女の見ている「無」の世界の切なさや、やるせなさを感じられたらうれしいです。
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油彩ブラシむずかった~(;´Д`)
今は自分なりに使いやすいブラシをあれこれダウンロードして使っているんで、当時よりうまく描けると思うんですが、使うツールによっては作画が難しくなることがありますね。
ブラシの調整とかを当時はそこまでしてなかったので、何度か描き直した覚えがあります。
色彩についても、今は最後に色調補正をしてますが、この時はまだやってないですね。構図と色彩、そして何より大事なのがキャラの表情。これが絵の印象を決定づける大事なポイントでした。
まだまだ拙い作画ですが、一生懸命この小説作品に向き合ってたことがよくわかる絵だなと自分でも思います。
絵の中で「無」を表現するとか、この作品と出会わなければ挑戦しなかったことだと思います。自分自身が成長できた一枚でした。
それでは次いってみましょー!