ずるいずるいと己のものをとりつづける妹に思い切ってどうしてそんなに私のものを欲しがるの?と婚約者を取られた姉の私が聞いてみました件について
「お姉さまはずるい、何でも持ってますわ。綺麗なドレスもきれいな髪飾りも!」
私はずるいといわれるたびに妹に己の髪飾りやドレスをあげてきました。
両親も妹の願いを聞いてやれと言ったからです。
「ずるいですわ。お姉さまは私のほしいぬいぐるみやそれにアクセサリーも持ってますわ! ほしいですわ!」
妹のリリーベルはずっとずっとこんな感じでした。
私は姉であるから願いをかなえてやれと言われ続け、仕方ないとばかりに己のものをあげてきました。
しかし婚約者であったマックスを今度はとられてどうしてそれほどまでに他人のものをほしがるのか疑問に思ったのです。
「どうして私の婚約者までずるいといって欲しがるの?」
「だってずっと私マックスのこと好きだったからですわ!」
私は好きだったというが私が紹介したときに初対面と言ってたのではと聞くと違いますわと否定する妹。
愛らしくかわいい妹は誰からも愛されました。
理屈っぽく地味な見た目の私は確かに愛らしさには欠けていました。
だから婚約者をとられたのだとこの時納得しようとしました。
しかし……。
「ユリアーナ、すまない私は真実の愛を見つけてしまったんだ! 婚約を解消してほしい」
選定式において王太子殿下の婚約者に選ばれた私でありましたが一度あることは二度あり三度あるといっておこれはないと思っていました。
妹から婚約者をとられること1回、恋人をとられて1回、これで三回目です。
真実の相手がリリーベルと言われまたかと思うしかありません。
「リリーベルをいとしいといわれますが、選定式ではリリーベルは選ばれなかったのはどうしてです?」
「あれは母上と父上が……」
確かにあの子は少しおつむが弱い、それでかと私は思います。
しかし婚約破棄といわれても姉はいやだから妹でというわけには簡単にはいきません。
私が首を横に振っていやですと答えましたが……。
「ユリアーナ、お前を妹のリリーベルをいじめた罪により婚約破棄して、辺境送りとする!」
「……」
「お姉さま、私をいじめていつもあなたはお勉強をろくにしないから魔法学園の入学もできないのよと馬鹿にしましたわよね。とても私傷つきましたの」
私は殿下に呼び出され妹と衆目の目の前で婚約破棄を宣言されました。
こうくるのは予想していました。
「私、妹をいじめていません。妹が成績が悪いのは事実です」
「……それをいじめているというのだ!」
「事実を述べて、妹を諫める姉をいじめるという表現にされるのは心外です」
私は妹の家庭教師の先生がつけた成績表を取り出し皆の前で見せました。
態度が悪い勉強を全くしないと両親に対し書いてあります。
「これ事実ですわよね」
「……しかしだ!」
「さすがにこのままではまずいと私は思って心を鬼にして先生の言うことをよく聞いて勉強するように言ったのですわ! 姉の愛です!」
「……それをいじめと!」
「姉が妹のためを思い叱る。それをいじめといわれるのはひどいですわ」
私は涙を手に語ると皆がそうだよなと言い始めます。だって妹が馬鹿なのは本当ですもの。
「……妹は私の婚約者のマックスと婚約したいといったので私は真実の愛に生きるといった彼女たちを祝福しました。でも一か月で別れるなんて……」
私はマックスからとりつけた書状を見せます。
殿下は驚いたように妹を見ました。これはさすがに言ってなかったようですわね。
「それは……」
「真実の愛に裏切られたマックスはいまだに女性不信のままですわ」
私はマックスが泣きながらあなたをもう愛してないともう言われたというのを聞きながら書状を書かせるのに苦労したのを思い出しました。
「そして私がお父様からもらった誕生日プレゼントの特注の髪飾り、飽きたからいらないと壊れた状態で一か月後に返してきたこともありましたわよね」
懐から私は髪飾りを取り出します。ちなみにこれ強い衝撃を受けたのでなければこんな壊れ方をしないとなおしにだしたらいわれましたのよね……。
「職人になおしにだしたら、高いところからわざと落とすか、何か固いもので叩くかしないかここまで壊れないといわれました」
「……リリーベル」
「私わざとなんて壊してませんわ!」
「あと、私のドレスは泥だらけで戻ってきましたわね。他のドレスは裾がハサミでずたずたになってましたわ。ハサミで間違いないと職人が言ってましたわ。書状にもしてますわ」
リリーベルが泣き出しましたが、私はどうして私のものを欲しがるのか聞いたときお姉さまばかりずるいといいましたが、あなたにも同じように贈り物はされてますわおねだりの数だけ多いほどですわとお父様やお母さまが発注した贈り物のリストを出しました。
「これは……」
「これが私の分」
「リリーベルのほうがかなり多いな」
「ええそうですわ」
私は親の愛情も等価ではないのですわとふっと笑います。殿下はリリーベルを見て言っていることが正反対だと首を振ります。
「いや姉が貸してくれたものを壊してしまったらそれをすごく怒られたと……」
「どうしてこんなことになったのかは聞いたことはありますが、怒ったことはありません」
「そうか……いやリリーベル。君との婚約したいというのはなかったことにしてほしい」
私は殿下に向かって私との婚約は破棄で結構ですわと笑いかけました。だって妹にころっと騙される人と婚約をし続けるのは嫌でしたの。
妹に向かって私は笑いかけ、あなたに差し上げますわと言いましたがもういりませんわと首を振ります。
「ではごきげんよう」
私は一礼してその場を立ち去ります。さすがに私の後を追う人はいませんでした。
私はあれから魔法学園に通い続け、教師として残ることになりました。
殿下は陛下にこってりとお灸をすえられ、次の婚約者は決まらないまま。あ、慰謝料はいただきましたわよ。
リリーベルはさすがにこんな騒ぎを起こしたことで両親もまずいと思ったのか修道院に送られました。
しかしねえ両親のことだから呼び戻すつもりとかだったらまずいと私はリリーベルに恋人を取られた人たちの話を聞いて陛下に打ち明けています。
陛下は絶対に出てこれないように手を打つと言ってくれました。
そして殿下は廃嫡、私はいまだに魔法学園にいますが恋人を見つけ結婚しました。
リリーベルは修道院で死んだそうです。悲しいとももう思えませんでした。
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