6、 剣術都市マルティネス
6、 剣術都市マルティネス
「ここがマルティネスって町ね! 綺麗な城下町じゃない!」
「そうだな」
フレイムという街に滞在してから約三ヶ月。貴族の出であるテイラーとの別れを惜しみつつも、次の目的地、マルティネスに7日かけて到着した。
通称、剣術都市マルティネス。ここには様々な剣士、あるいは剣士見習いが集まり、日々町中のどこかで剣術を鍛えている。全てはこの町の城と剣術都市を守るためという者もいる程だ。
その中でも、剣士が一人前になるために誰もが通る道、ソードルイス学園。
世界に存在する、魔法、剣術、生産、の三つあるうちの一つがこの学園だ。ある程度、剣術の関する知識がないと、入学することすら難しく、実技試験となるとその数倍は落とされるとされる。
「で、これからどうすればいいのかしら? デイヴィス」
「まず、オレの恩師に会いにいくところからだ。 つまり、オレの先生に当たる人だ」
「それじゃあ、その人に学園に入るための推薦状を書いてもらうってことね」
「違うな。 そんな生易しい先生ではないよ。 ただの挨拶にしに行くだけだ」
「えっ?」
オレとアレンは自分を拾ってくれた恩師に当たる人物、ホワイト・シーカーの家をまず訪ねた。
ドアに付いたリングを二回、コンコンと鳴らす。
「やあ、待っていたよ。 長旅で疲れただろう。 中に入ってまず休め」
「お言葉に甘えて入らせていただきます。 折り入った話もしたいので」
「お邪魔しまーす!!」
大きな家のダイニングルームに案内され、椅子に座らせられるとこの家のメイドたちがテーブルにおいてあるティーカップに紅茶を注ぎ始める。
「この町の近くで取れるいい香りのする茶葉だ。これでも飲んで、リラックスしながら、話でも聞こう」
「早速で悪いのですが、オレの学園復学を認めてもらうことはできませんか?」
「すまんが、それはできない。 だが、退学した者が再び入学し直すことはできる」
「そうですか。 なら、良かったです。 オレたちはこの学園に入学するので」
「決して楽な道ではないぞ、それでもか?」
「いや、楽に入るつもりではないですけど、絶対に入るつもりではいますよ。 先生」
「そうか、あの時のようにもう迷いはないのだな…」
オレが真剣なおもむきで話している最中、ホワイト先生はどこか、昔に浸っているような表情で、目をつぶりながらしゃべていた。
「デイヴィス!! この紅茶、甘くないのにこんなにも美味しいわよ!! すごいわ!」
「そうだろ〜そうだろ〜。 この町の一番の茶葉を使っているからな。 デイヴィスもぜひ、飲みたまえよ」
「はい…」
オレが紅茶に口付ける、その時だった。
「きゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「ま、魔獣だああああああああああああああああああああああああああ!!!?」
外で、魔獣が現れたという住人たちの叫び声が聞こえてくる。
魔獣は、魔物より一つ上のランクで強い上位の敵だ。相手にしたら、厄介に違いない。
ただ、それは〝一般の剣士〟からしたらの話だが…
「一級魔獣の可能性が高いな。 だが、今回はお前1人でも大丈夫そうだな」
「ええ、昔とは大きく違いますから」
「私も行くわ!! 私だって一応は冒険者としては超強かったもの!」
「ならば、これより、第一試験。巨大ワームの討伐任務を開始する! 合格者には、この学校への入学試験を受けられる権利と入学推薦状を与える」
「行くぞ! アレン」
「うん!!」
オレとアレンは、ホワイト先生の掛け声とともに家の外へ飛び出し、巨大ワーム一匹にめがけて、長剣を振り上げ突き刺した。