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2、 追放と剣聖デイヴィス

2、 追放と剣聖デイヴィス



「デイヴィス・ドミニク。 お前は今日限りでこのギルドから追放だ」


聞き捨てならないことをオレは聞いてしまった。オレはこの勇者パーティーで冒険し始めて、もう6年経つ。

そんな大切な仲間を今更、手放すことを勇者は果たしてするのだろうか。


「なんでだ…オレがこのギルドパーティーで何かしたのか?」


「それすら分からないとは、お前は相当なバカだな。 お前は確かに剣術ではオレらよりはるかに強い。 でも、デイヴィス。 お前は魔法が使えない上に、協調性がない。 単に単独行動が過ぎる」


「…たったそれだけか? それだけで仲間思いの勇者さまがオレを手放すのか?」


「そうゆう俺たちを煽ってくるところも嫌いなんだって言ってるんだよ、クズ野郎。 あと、それだけじゃない。 お前には魔法弱体化のステータスだってある、剣術だけが取り柄でお前は何もできない。 ギルドのみんなはなんでもできるっていうのにな」


「一体、何が言いたい…?」


「つまりは、お前は無能の剣聖(ソードマスター)? いや、剣聖という役職すらお前には似合わない。 お前はただのポンコツFランク級の冒険者だ! ハハハハハハ!!」


笑いながら、煽り出した勇者に対し、それを聞いたオレは怒りに身を任せ、勇者の服の襟を掴みかかり、そのまま空にあげた勇者に強く握りこぶしで殴りかかろうとした。


「おい、おい。 先にお前が手をあげていいのか? 確かにお前は強いよ。 一対一だったら、オレは負けるしかない。 でも、三対一だったらどうだ? これは正当防衛だぜ。 お前が負けて、お前の評判が下がるだけだからな」


「お前は本当にいい性格をしているよ…ガルシア・アーチ」


「褒めてもらえて嬉しいよ。 ここから潔く去るか、オレらと戦ってまでしてその無駄な自分の意志を貫くか。 選べよ」


「……」


オレは、静かに握りしめた襟を離し、掴んでいた勇者ガルシアを地面に突き放した。

オレは、自分の意志に反してコイツの言った前者を選んでしまった。


ただ、立ち尽くしたまま…謎の敗北感にとらわれた。そこには剣聖としての全能感は全くなく、オレの力はここでは無力なんだと思い知らされた。


「ガルシア様、やっとあのデイヴィスを追い出すことに成功されたのですね。 前から、存在自体がいらないと思っていたので、助かりました。 全くせいせいしましたよ。 あのゴミには」


「そうですよ。 脳筋にはここは似合いません。 協調性もない奴には追放がぴったりですね。 あいつに全て合わせてられないし、このギルドの名誉にも関わることでもありますからね」


背中合わせに、宿屋の入り口にいる他の仲間たちに冷たい言葉を浴びせされ、オレの中では、仲間への信頼と期待は全くもってなくなった。


次に日の朝。宿屋から自分の荷物だけを持ち、この町、ギルドからオレは1人去った。

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