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待ち合わせ

 翌日、いつもよりも早く目覚めたアンズは、肩より少し長い髪を念入りに梳いていた。


「りゅーちゃん、ツインテール好きだからなぁ」


 アンズはそう呟きながら、左右で同じぐらいに分けて念入りに梳かした髪を束ねる。耳より高い位置で結ばれた髪が耳元でさらさらと揺れた。サクランボの飾りゴムを結び目に付けながらアンズは思う。このサクランボのようにずっと一緒に並んでいたいな。りゅーちゃんに少しでも可愛いって思ってほしい、その一心で、似合っているのかは自信がないけどせめて丁寧に髪を整えた。


 家を出る段階になっても、りゅーちゃんからの返信はない。ため息をついたアンズは、約束の時間をメールに書き入れ忘れたことに気づく。


「今から家を出るね!」


 アンズはそうメールを作成して、送信すると、自分の頬をパンッと叩いた。来てくれないかもしれないと不安になる心を励まして靴を履き、家を出る。ポケットに入れたケータイがりゅーちゃんからの返信で震えるのを期待しながら10歩ほど歩いた。でも、返事は来ない。やっぱり来てくれないのかもしれない。アンズは不安が大きく胸のうちで膨らむのを感じた。


「今、駄菓子屋さんの前を通過中ー」


 返事を急かしたい気持ちを抑えて、アンズはそうメールを送る。今日、待ち合わせ場所に来てくれないの?とは怖くて聞けなかった。髪型だって頑張って整えたのだ。ここで引き返してしまうと、もう2度と気持ちを伝えられない気がしていた。


「もう、公園見えてきたよ」

 相変わらず、震えることのないケータイ。アンズは公園にりゅーちゃんが来てないことを半ば覚悟しつつ、最後のメールを送った。

 直後、公園の車輪止めが視界に入った。誰も乗ってないブランコが1つ、風で小さく揺れている。ブランコのフレームに背を預けるようにして男性が立っていた。狐を彷彿とさせるような細い目に細く長い三つ編み。その人とうっかり目が合ってしまったアンズはぺこりと頭を下げて、少し離れたベンチに腰掛けた。それから、そう広くはない公園を見渡す。

 三つ編みの男の他に公園にいるのは1人だけ。金髪の男だ。頬に目立つ傷があり、険しい顔をしている。アンズと目が合うと目を細めた。慌てて目をそらしたアンズは肩を落とした。やっぱり、今この公園にりゅーちゃんは来てないらしい。覚悟していたつもりでも、りゅーちゃんの姿がないのはショックだ。


「もう少し待てば来るかもしれないし……」

 アンズは自分を慰めるように呟いて空を見た。突き抜けるような青さが目に痛い。


「どうしたん?泣きそうな顔をして」ブランコのあたりにいた三つ編みの男がいつのまにかアンズの隣に座っていた。

「えぇっと……」アンズは驚いて距離を取るように、身じろぐ。


「なんも、何も怪しいことないよ」

 ニンマリ、という擬音が似合いそうな顔で三つ編みの男は笑って、手を差し出してきた。その手が何だかとても恐ろしいもののように感じられてアンズは首を振る。

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