残ったもの
現時点で教室に残っているのは四条や角川を含めて六人しかいなかった。
なぜこうなってしまったのだろうか?
原因は五分前にさかのぼる。
・・・五分前
一人の発言によりゲームが大きく動いた。
教室の右端、掃除用具箱に寄りかかりながら授業を受けている生徒の発言だった。
身長が高くかなり筋肉質な体形をしていた。
彼の名は神折巧人。
呉県(旧広島県)出身。
中学生時代にウエイトリフティングで全国制覇の経験を持っているエリート。
高校に入ってからも実力は衰えず全国制覇を維持している。
そんな彼の一言で一時限目にして六人に減ってしまったのだ。
「この授業面白くない人手あーげない。」
よく考えられたこのゲームのためにあるような言葉だった。
そもそも他人の発言に反応してはいけないのがこのゲームの本質である。
この時神折は、手を上げるなと指示していた。
しかし大半の生徒は無視することだけに集中してしまい手を上げるのを忘れていた。
いや、手を上げなくていいと勝手に解釈してしまっていたのだ。
そこに付け込んだ見事な策と言えるだろう。
手を上げた五人を除いて教室から大半の生徒を追放することに成功した。
というわけで現在一時限目を終えて既に六人に絞られるといった状況に陥ったのである。
残った生徒は、四条、角川、神折と女子生徒三名であった。
この時点でこの六人はかなりのカリスマ性のある六人が残ったといえよう。
簡単な策略には引っかかることはない。
どうやって勝ち残るかだけを四条は考えていた。
そうやって牽制しあいながら二限、三限とどんどん時間は過ぎていった。
そして、昼休憩が終わって五時限目。
ここまで誰とも会話をすることなく四条は一日を過ごしている。
そろそろ仕掛けるべきかと思っていた矢先のことである。
・・・ポンポン
神折が女子生徒二名の肩をたたいた。
勿論女子生徒二人は振り向くに決まっている。
しかし振り向いてはいけなかった。
神折のした行動に素直に反応した。
すなわち神折の命に従ったと判断されてしまったのである。
女子生徒二人は先生に追放とだけ言われ教室を去った。
これで教室に残ったのは、四条、角川、神折、女子生徒の四名である。
この後何事もなく五限は終了した。
六限に入る前、四条はひそかに考えていた。
授業中に急に叫ぶのはどうだろうかと。
反応して一声でも出してもらえたら勝ちではないかと。
そして決行しようと決意を固めて六限に向かう。
ゲームも終盤、誰が生き残ってもおかしくはない。




