ちょっと待って、、、です
全くもって神折と鷲宮の二人は対策を講じて競技には望んでいなかったのだ。
競技経験のない越谷と鈍間は唖然としていた。
「取り敢えず何か王様レースを出てみた感想とかあったら教えてくれないか。それだけでも十分に参考になると思うからさ。」
越谷は対策の話はこの二人からは聞けないと思い、せめて競技の雰囲気だけでもという思いで競技の感想を聞いた。
対策はともかく、競技の雰囲気くらいは言葉で説明してくれるものだと思っていた。
しかし、それは大きな過ちだった。
「感想?、まあ私が勝つと思っていた。実際勝てた。めでたしめでたし。かな。」
「森宮は俺が倒す。」
残念ながら二人とも競技の感想というより個人の感想が駄々洩れだった。
どうやら競技の事ではなく、自分の勝ち負けにしか興味のないタイプの人間らしい。
「ははっ・・・そっか。それは貴重な意見だなぁ・・」
越谷は嘘をついた。
勿論の如くこんな感想を聞いたところでなんの参考にもならない。
だが神折と鷲宮が全くと言っていい程悪気なしに言っている姿を見ると、面と向かってそんな感想聞いていないとは言えなかった。
「正直対策なんて役に立たないわよ。本番なんて何が起きるかわかったもんじゃないんだから。」
鷲宮のいかにも天才肌の奴が言いそうなセリフがぶっ飛んできた。
(そんなこと言いだしたらこの集まりは何なんだ。対策を立てるんじゃなかったのか。)
越谷はそう鷲宮に言ってやりたかったが、鷲宮にはどこか建付けないと言った様子。
しかしこの対策会議をしたいと言ったのは神折だ。
神折ならこの進まない話を前に進めてくれるのではないかと越谷は思った。
「まあ、そう言わずに何か考えよう。神折は何かないか?」
「そうだなぁ。」
神折の顔が真剣な表情に変わるのが見て取れた。
(これはいい意見が聞けるかもしれない。)
越谷も期待をした。
「正直対策とかないかもな。気持ちの持ちようだろ。」
(お前がそれ言い出したら終わりだよ!何が対策会議だ!ボケーーーー!)
そう言ってやりたい気持ちをぐっとこらえて、越谷はみんなに一言言った。
「よし、対策は対策がないだな。これ以上の対策はないぞー。じゃあ本番頑張ろう。」
(言いたいことは言えた。なんて清々しいんだ。これで心置きなく帰れる。)
越谷はそんなことを思って席を外そうとした。
越谷が席を立った瞬間、
「ちょっと待って!・・・です。」
ここまであまり口を開かなかった鈍間が越谷を引き留めた。




