時代を作れ
「はい、帰って下さい。」
後追が冷めた言い方で四条を輪から掃いた。
四条は一人負けというまさかの結果に頭が真っ白になっていた。
一人とぼとぼと机に向かっていく様は、無気力に等しかった。
席に着くと角川が一言声をかけてくれた。
「雪斗らしくて俺は好きだぞ。」
満面の笑みでかけた言葉だったが恐らく四条には響いていなかっただろう。
「うん。」
覇気のない一言だけ返して、魂を抜いた。
そんな四条はよそに枠を掛けた戦いは続いていた。
「さあ、四条選手が抜けて残る脱落者は二人になりました。ここから誰が生き残るのか、目が離せません!」
春美の熱い実況が響く中二回目の拳が放たれる。
「最初はグー、じゃんけんぽん。」
「なんと神折の一人勝ちだー。これは内に秘める思いが強い証拠なのか。」
結果は神折の一人勝ちになった。
正に圧勝と呼ぶに相応しい形となった。
神折は顔にこそ出さなかったが、内心はものすごくうれしかったに違いないだろう。
枠を勝ち取った神折の名前が後追によって刻まれた。
勝った神折もその光景を見てゆっくりと席に着いた。
これが俺との差だと見せつけんばかりの威厳を四条にいせつけているようにも見えた。
その後も戦いは進み、結局四枠の中に神折、越谷、鷲宮、純間の四人に決まった。
そして負けた三人も余った各競技に回されて無事にクラス全員の競技が決まった。
「それではこの形でエントリーになります。本番の活躍に期待しています。」
そう言って後追も席に着いた。
そして後ろの方で見ていた流川先生が教卓の前に歩いてきた。
「去年してるからわかるとは思いますが、体育祭で活躍することも立派な王になるために必要不可欠なことです。皆さん頑張ってください。では、今日は終わります。」
そう言って、教室を後にした。
相変わらず真剣に言っているのかそうじゃないのかわからなかった。
しかし、自分の競技が決まり身が引き締まった生徒たちにそんなことは気にならなかった。
早速生徒たちは同じ競技に出る者同士で対策を練っていた。
「ほなうちらはノルウェーリレーのメンバーてことでええねんな。順番はまた決めるから取り敢えず今日は帰ろうか。」
どうやらノルウェーリレーには、森宮、宮内、虚、そして四条の四人だった。
「よし、いっちょ頑張るか。」
宮内はやる気十分。
「・・・」
虚はもともと無口なため喋りはしない。
「・・・」
自分の希望と違うため覇気がない四条。
この四人がいかに一位を取るかを追っていく、のではない。
「俺たちの時代を作るぞ。」
神折がほかのメンバーに発破をかけている方の王様レース組が主体の物語である。




