先輩の力
綺羅は手際よく既に文章を大方完成させていた。
というのも毎年大体同じ文章ですることがほとんどだということだ。
要するに綺羅は去年の文章をそのまま引用しただけということになる。
しかし、そんなことは知らない二人は綺羅がすべて自分で考えたのだと思い込んでいた。
「綺羅さん流石です。こう完成させているなんて。」
四条は憧れのまなざしで綺羅を見つめていた。
綺羅はそんな四条を見てニコッとした。
「そんなことないよ。まあこれくらいは先輩の仕事だ。文章を考えるくらい訳ないよ。」
綺羅は気分が良くなるなと思って文章を自分で考えたという軽い嘘をついた。
あまりにも憧れのまなざしを二人から向けられたため、ちょっと悪いことをしたと思う部分もあった。
しかし、気づかれたらその時にまた対処すればいいかということで自分の脳内で解決させた。
綺羅は文章の内容を説明しだした。
「文章の内容についてだけど、まず全員で宣誓っていうところまではわかるか?」
「分かります。どこでもやってるような感じですね。」
「そうだ。その後は後日書類を渡すようにするが真田から順に四条、俺の順で一文ずつ言っていく。最後の年月日に関しては俺が全部言うようにする。まあ要するに普通の選手宣誓だ。特に特別なことはない。気楽にやってくれ。」
「はい!」
四条と真田の元気のいい返事が屋上に響いた。
綺羅は返事を聞くと、ドアのほうに歩きだした。
「書類は明日には担任の先生から渡されるはずだからよく読んどいてくれ。じゃあ先行くぞ。」
歩きながら説明をしてそのままドアを開けて教室に戻っていった。
四条と真田はまだ緊張していた。
「綺羅さん凄かったですね。なんというかオーラが違うというか。ホント圧倒されそうでした。」
「流石は四代王家の出身って感じだったな。俺たちも飲み込まれないようにしようぜ。」
そして、二人とも各教室へと戻っていった。
教室に戻った綺羅は早川と会話していた。
「二人ともお前の目から見てどうだった?」
「とてもいい子たちという印象だったよ。素直なのがいいと思った。思わず先輩面してしまった。」
「そうか。まあ仲良くやってくれ。俺も三人の宣誓には期待しているからな。」
「ああ。」
早川は会話が終わるとトイレに向かった。
綺羅は四条が王家に今後絡んでくるんじゃないかと考えていた。
そして、運命の体育祭が幕を開ける。




