邂逅
「ちょっとおかしいじゃない! なんでこの私が破戒僧なんてめんどくさいやつのお世話をしないといけないの? 私を誰だと思ってるのよ!」
女神に詰られる教皇たち。めんどくさいやつはお前だとは思っていても口には出さない。
「もちろん女神さまだということはわかっているのですが……」
「何よ! 私に口答えする気!」
「いえ、そのようなことは全く」
想像以上にわがままな女神に圧倒される教皇。
「私は早く神界に帰るの! そのために魔王を倒さないといけないのよ!」
「魔王を討伐していただけるのですか!?」
「倒さないと帰れないんだから仕方ないじゃない! 魔王をしばいて神界に帰って早くゲームをしたいのよ!」
げーむという聞きなれない言葉に戸惑う教皇。それに神託とアリスの言い分が少し違うことに気が付く。そして冷静になり年の功を発揮する。
「魔王を討伐されるのでしたらジャックという男は一番適しています」
「あら、そうなの?」
「ええ、彼は剣も魔法も使えます」
「そう、ならいいわ。で、その破戒僧はどこにいるのかしら?」
アリスが入り口のほうを見る。するとそこに看守と看守に担がれているジャックがいた。
看守はさっきのやり取りを見てうろたえていたが女神の視線を感じて声を上げる。
「し、失礼いたします。破戒僧ジャックをお連れいたしました」
「おお、よいところに来たな」
「あら? その拘束されているのがジャック?」
「ええそうです。彼は能力には優れているのですがちょっと、いえ、だいぶ、いや、完全に素行に問題がありまして」
「まあいいわ。あなた剣も魔法も使えるのよね?」
ジャックは拘束され、床にうつぶせの状態でうなずく。
「なら私の仲間にならないかしら? 私と一緒に魔王を倒しましょう。悪いようにはしないわ」
ジャックは首を横に振る。つまり拒絶した。カス呼ばわりされようと見るからにやばいやつとつるむ気はないらしい。
「なんでよ! 神が直々に仲間にならないかって言ってるのよ! 普通泣いて喜んで私の命が尽きようとも女神さまとご一緒させていただきますって言うでしょ!」