プロローグという名の失敗談
高校卒業から、大学入学までの時期をなんと呼ぶのだろう。
学生ではない時期なのだから春休みとは少し違う気もする。
学生といった身分がなく、やる事も大学に進学時に必要なものを揃える程度だ。
ライトノベルをはじめとする、多くの作品の物語では主人公の大半が高校生や社会人であり、中途半端な時期のキャラクターはほぼ居ないだろう。
そんな、何も無い時期である、3月25日に俺は呪われた。
よくわからない何かに呪われた。
そんな雑な情報提供を行ったところでなんの意味もなさないだろう。
あの日に俺が行ったことと、同じくらいなんの意味もなさないだろう。
俺が語り部である以上全ては語らない。
自身の恥ずかしい失敗談を美談として語れるほど、図太い神経をしていないからだ。
本当であれば何も語りたくはない、失敗に失敗を重ね妥協案で落ち着いた話なんかを。
しかし、語らなければ、伝えなければ、理解されないし救われない。
俺自身が理解して欲しい訳では無いし救われたい訳では無い。
綺麗事かもしれないが、アイツだけは。
アイツが行ったことは正しい事とは言えないが、行わなければならなかった理由は理解して欲しい。
そして、救われて欲しい。
それだけは願いたい。
そんな気持ちを込めて伝えよう。
惨めな化け物が人と出会い、愚かな人間が化け物の世界に足を踏み入れた事を。