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スパイシー

本日もどうぞよろしくお願いします。

 空は青い。それは、どこにいても変わらないことだ。太陽はらんらんと輝いているし、白い鳥が追いかけ子をするように空をかけている。その風景に少し落ち着く。

 窓際の席は正直言って最高だと思う。退屈な授業を外を見ることで、暇つぶしできるから。

 この学園の授業はつまらないというわけではなかった。わかりやすいし、先生方も親切だ。しかし、何かが足りない。前の学園では授業時間は最高のひと時だったのに。

 進度は、たいして変わらなかったので、置いていかれる、もしくは、一人だけ先に進みすぎているということはなかった。だから、それなりに収穫はあるし、知識も得られる。まぁ、珍しいもの大好きな先生の授業の時の指名地獄はうざかったが。

 一限の魔法基礎、二限の戦闘理論が終わり、お昼の時間がやってきた。この学園には学食があるらしい。生徒たちの大半はそこで食事をとる。俺もこれからお世話になることだし、行ってみるとするか。

「おーい」

「ん?」

 俺のほうに小走りしてくる少女。亜麻色髪が揺れている。リューネは、俺の前に立つとえへへと笑った。

「朝はありがとう。同じクラスだったんだね!」

「あ、ああ」

 そうか。リューネは遅刻してきたから自己紹介聞いてないのか。そう思うと、どこか悲しくなった。俺のスキルが騎士だってわかったら、おそらく、対応は変わってしまうだろう。悲しいけど仕方ないか。

「お昼、どうするの?」

「これから学食に行ってみようかなと思って」

「なら、一緒に行こうよ!、ほらほら!」

 リューネが俺の制服をグイっと引っ張って歩き始めた。こいつ、すごい強引な奴なんだな。でも、その強引さが、今の俺にとってはありがたかった。


 焼いたパンのいいにおい。スパイスのきいた料理の鼻につくにおい。デザート類の甘い匂い。いろいろな食べ物のにおいが学食には漂っていた。やばい、ここに来ただけでよだれがたれそうだ。それを我慢していたら、おなかが悲鳴を上げた。

「ははは。おなかなったね。早く食べよっか」

 長蛇の列がすすみ、リューネの番がくる。彼女は、クリームたっぷりのパンとフレンチトースト、サラダ、シチューを頼む。すごくカロリーが高そうだが、気にしないのだろうか。

 俺は、スパイスのきいた肉、サラダ、カレーライスを注文した。カレーはふざけたつもりで、三人前でといったら、本当に三人前が来てしまった。ちょっと後悔。午後の実技の授業動けるかな。

 適当に二人分開いている席を見つけ、リューネを呼び、座る。いざ向かってみると、リューネってすごく整った顔してないか? そんな彼女が、おいしそうにパンをほおばっている。口の端にクリームついてるぞ。

「自己紹介してなかったよね?」

「聞き取れるけどさ、口の中のものをなくしてから話してくれ」

 リューネは口をもぐもぐしながら話しかけてきたが、それは女の子としてどうかと思うので、とりあえずどちらかにしてほしい。リューネは急いで飲み込んだ。

「私は、リューネ=マリアナ。リューネでいいよ。よろしくね」

「俺は、リューク=アルスタイン。固有スキルは騎士だ」

 固有スキルまで言う必要はないが、一応言っておく。案の定、リューネは、一瞬、目を大きくした。やっぱりな、リューネも差別するんだろう。はぁと息を吐きそうになるが、スンのところでこらえた。

「それうそでしょ?」

「は?」

 リューネは優しい目を向けてきた。憐み、蔑み、そんな表情じゃない。その双眸は俺自身を見透かしているような気がした。

「まぁ、いいっか。私は魔導士やってるよ。スキルも魔導士。同じようなもの同士よろしくね」

 リューネが手を差し伸べてきた。俺は、何かにとりつかれたように、気が付けばその手を握っていた。

 そんな俺を見て、リューネはいたずらっぽく笑った。

 

 

主人公のキャラブレが気になるなあ……

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