最初の戦い
戦闘描写はほとんど一瞬です。設定的にシン(主人公)が強すぎて戦闘が成り立ちませんので。
シンに対して敵がどう対策を立てるのかが主な戦闘描写になるかと思われ。
さて今の時代の龍がどの程度のものかは分からんがさっきまでの様子を見る限り相当力の差があるはず、まずは受け身に回ってやりあうしかないな。
「とりあえず身体強化だけでもやっておくか」
体内を魔力が満たしていくのを感じる。よし魔力を放出することは出来ないが内側で使う分には問題ないな。
指先まで満遍なく浸透したのを確認する。
「そっちも準備万端って感じだな」
目の前のアストも口内に溢れんばかりの魔力を集中させている。どうやら短期決戦を挑んでくるつもりのようだ。集中させ過ぎな気もするがあれを撃ち出すつもりか?だとしたら避けたりしたら周囲に甚大な被害をもたらすな。
「俺から世界を守るつもりなら後のことも考えて欲しいものだ」
こんなもの撃ち出したら地形が変わるだろうし、完全に受けきるか上空に受け流すしかないな。魔力を纏わせることも出来ないから純粋なステータス差でどうにかなるのを願う。
ふぅ、心の準備は万端だ。アストに集まる魔力も収束し始める、さらに集中させるとかもう呆れるしかないな。
「俺の覚悟が揺らぐ前に早く撃ってくれないか」
これを乗り切ってアストが頭を冷やしてくれれば殴らなくて済むんだが・・・
『ガアアァァァ!!!』
ようやく撃ってくれたか。凄まじい量の魔力と熱を周囲に振りまきながら必殺のブレスが迫る。
集約させていたから光線系かと思ったらまさかのブレス系か。周囲への被害を防ぎようがないぞバカ龍!。
「流動するから受け流すのも受けるのも無理じゃないか!」
仕方ない、このバカ龍を殴って無理やりブレスを止めさせるしかないか。これだけのブレスを吐けるんだ少しぐらいなら大丈夫だろ。
未だにブレスを吐き続けるバカ龍に近づく。見上げれば遥か頭上のその眼にはわずかに恐れを孕ませている。大方このブレスで焼ききれると思っていたのだろう。
「残念だが、俺とアンタじゃ次元が違うんだ。魔力を封じたからわからなくなったのか?」
後ずさりながらもブレスを吐き続けるせいで、木々が炭化することもなく焼け落ち山肌すら燃え始めている。
「これ以上の環境破壊は俺がいない時にやってくれ」
一瞬で距離を詰め、腕が届く範囲内にバカ龍を捉える。一応腰から打つのはやめておこう。万が一があるしな。
それでも少しの間悶えることになるだろうが仕方ないだろう。
「せい(棒)」
『グルゥアァァァ!!』
掛け声だけでもしておこう、せめてもの気遣いだ。しかし腕だけで振った拳が古龍のその硬い鱗を貫いたのが分かった。もう少し弱くてもよかったかもしれない。
「まぁ、これだけデカいんだ。多少肉が抉れるくらい大丈夫だろう?」
声をかけてみるがうめき声をあげるばかりで返事がない。まさかこれほど差があるとは、正直なところもう少し苦戦すると思っていた。なんせこれでも龍らしいし、かつての龍といえば俺たち魔族や神と肩を並べるほどの強者だったはずだ。それが何故ここまで弱くなってしまったのかは謎だがいつかは解明するとしよう。
今は目の前の龍だ。とりあえず治癒魔法でもかけてやるか。
「ヒール」
・・・なにも起きない?まさかさっきのブレスは魔力を吸収したりするのか?
手のひらを見て魔力の有無を確認する。
「あ・・・」
右手の中指に怪しく光を放つ指輪を見つける。これは恥ずかしい、自分で装備しておきながらとんだ醜態だ。
「まぁ?コイツは悶えてるし大丈夫だろう。」
目の前にいる龍はそれどころでは無いだろうし、気にすることはないか。リングの中に何かあったかな?
『グルゥゥゥ』
龍が弱々しい声で鳴いてんじゃないよ情けない。ん?
「これはどうだ?」
リングで見つけたのは「世界樹の葉」だ。傷を癒し状態異常を完全に治癒するという話が本当ならコイツの混乱状態も治るだろう。
「落ち着いたかバカ龍?」
手で擦りながら「世界樹の葉」を傷口にあてながら聞いてみる。見る間に傷が治っていくのが分かる。初めて使うがすごい効き目だ。
「世界樹の葉」に感動していると
『我は・・・いったい・・・』
やっと目を覚ましたようだ。これでやっと話が進むだろう。
「緊張のし過ぎで混乱したんだろう。龍ともあろうものが情けないな」
『ぐっ、悔しいが言い返せん』
「それで?まだ俺が悪魔だとか言うのか?」
『負けはしたがまだお前が悪魔でないという証拠にはなりえない』
まだ折れないのかこのバカ龍は。
「まだアンタが生きてるのが証拠にはならないのか?俺がアンタの言う悪魔ならアンタは邪魔な存在だ。真っ先に殺すはずだろう?」
『・・・では我はいったい何のために何百年も「世界の果て」を監視していたのか』
そんなもの俺の知ったことでは・・・あれからどれだけの時間が経過したんだ?バカ龍は何百年と言っていたがそんな短い時間でここまで世界が成長しなおす筈がない。
少なくとも何千年という単位の筈、いやもっとだろう。
「アンタは過去の大戦を知っているか?」
『過去の大戦だと?それとなんの関係がある』
「質問に答えろ」
『・・・千年と少し前に世界の全てを巻き込んだ戦乱があったらしい』
「・・・らしい?」
『この地の守護を命じられた時に少し話を聞いただけだ。詳しいことは知らん』
その戦乱というのが俺の知るものであるなら、明らかに世界の成長速度がおかしい。それに関する情報が欲しいな。
コイツに命じたという存在を調べるか直接聞くしかないな。
「そのあと何もなかったか?」
『さっきも言ったが、詳しいことは聞かされていない』
本気で言っているのか?何も疑問を持たないのか?
このアストとか言う龍は誰かの傀儡の可能性が高いな。それならこれだけ弱いのも頷ける。
もしこの推測が正しければこれ以上過去のことは聞いても意味はないだろう。今聞いた情報が正しいのかも怪しい。
とりあえず他の知的生命体の情報だけでも欲しいな。魔力を封じたから感知が難しくなっている。
「もう過去のことはいい。アンタ以外の知的生命体はどこにいる?」
『ここから南東の方角に人族の住む国がある。そこに至るまでにも小さな村などが存在していたはずだ。西のほうに行けば魔族が住む国がある』
ふむ、魔族がいるなら接触してみるのも手だな。人族という未知の存在は後回しだ、俺より強かったら怖いし。だがこのバカ龍が世界の守護龍だろう?人族より弱いことはないだろうし俺より強いということはないか?
「人族というのはお前よりも強いのか?」
『基本的には我の足元にも及ばん存在だ。魔族も同様だ。しかしときたま人族には勇者と呼ばれるひと際強い個体が現れる。そやつらは我に匹敵する力を持つことがある』
その程度なら全く問題ないな。どっちから先に行こうか。魔族の性格があの頃と変わらないなら過去のことなど考えもしないだろうし、人族のほうが可能性があるかもしれないな。未知の存在に興味もあるしな。
俺が眠っていた場所が北みたいだから、南東はあっちか。
「またなバカ龍」
『また来るつもりか』
今のところ唯一過去の存在につながるやつだからな。傀儡だろうが何だろうが利用させてもらうよ。
「よし!人族の国を目指すか」
そうと決まればこんなとこにいる必要はないな。早速南東に足を進める。
「南東?まぁこの山脈を右手に見て歩き続ければ何か見つかるだろ」
あ、食料とかどうしようかな。・・・面倒だ。
やっと先に進みます。補足としてこの世界には人族の中に亜人族としてエルフやドワーフなどの定番種族も含まれます。ほかにも亜人族が登場する予定ですがその時に説明します。
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