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生き残り兵乱記  作者: 遥か大地に
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他国と兄弟の獲得

親成は最後に俺に話した。


『お前は恐ろしいくらい聡いだが、まだ幼い、先に言ったことは理解出来る者、出来ない者がいるだろう。

そのまえに実績が足りない。皆を納得させるだけのな。

学問や武芸に力を入れ、今は力をつけることだ。

だが、鉄砲と硝石については役に立つ、生産についてはやって行けるだろう。

銅の錬成もな』

最後は頭を撫でて、寝るように促してくれた。


俺は『あまり、背伸びせず、ゆっくりやっていくか』と部屋に戻りながら考えていた。


だがこの内政などについての話を聴いていたものがいたことに気づかなかった。



安芸の国 吉田郡山城


ここは毛利氏の居城、尼子氏の来襲、大内氏の出雲遠征からかなり経ってのことだった。

隣国である備中に潜んでいた世鬼一族の忍びからの報告が上がり、大殿こと元就はため息をついていた。


『儂の考えに気づき、実行しようとするとは、しかも6歳の小童が、しかも三村の次男坊か。

どうやら親成殿が上手く捌いたか。

他にも何かいろいろ考えておる、大国であれば使えるものもあれば、小国でも使えるものもある。

それにしても次男坊か』

元就は次男坊という言葉に笑みを浮かべていた。自身も同じく次男という立場でありながら、当主になっている。

密かに三村の次男坊の動きを探り、何かあれば知らせるように命じた。


『味方として使えるのであれば、毛利の東の防壁になるだろう。

もし敵となれば厄介なことになりかねぬ。

味方として繋ぎ留めにはやはり・・・』と思いを巡らした。



備中の国 鶴首城



備中では親成の名の元で硝石の生産と銅の発掘を行い始めていた。

今まで通りとは違い、親父殿への説明と周りの説得から始めたため時間はかかったが


そんなある日、二人の客が訪れていた。

俺も立ち会った、言わずと知れた、史実では親父殿を暗殺した遠藤秀清、遠藤俊通兄弟ではないですか。

親父殿は客将として招くみたいですが、俺としては本気の召し抱えにするべきだ。そうこうするうちに親父殿は席を立った。

空気を察した伯父上が二人に声をかけていた。俺は伯父上と共に二人をある秘密の小屋に連れて行き、入るように促した。

二人は小屋に入ると中にある物を見て絶句した。山と積まれた硝石があった。


親成「おそらく兄は火縄の方に興味があるが、我々としてはお二方の持つ短筒を撃つ技術と作る技術が欲しい、将来的には短筒や火縄の部隊を密かに作る予定だ。

兄の対応などに不満を持っているのは分かるつもりだ。

それでも三村に力を貸していただきたい。」頭を下げて頼んだ。

流石の遠藤兄弟も驚き、「ここを去るつもりだったが気が変わった。この硝石の山を見たら去れぬ。力をお貸ししましょう。」

弟の俊通も頷いた。

親成は「とりあえず、どちらが製造に詳しいのかな。」

秀清「弟が詳しいが」

親成は頷いて、俊通に製造を任せるようにし、秀清には短筒を生かした戦術の研究と部隊運営を任せることにした。


俺はそれを見て密かに安堵した。

『味方に出来て良かった。あのまま遠藤兄弟を放牧したらあの備前の謀略家に親父殿が史実の如く暗殺させられるからな。

謀略の一つを潰せたか、まあ良かった。

これからも油断せず、やっていかないとな、とりあえずは。

だがもう一人の安芸の謀略家にも注意しないといけないな。

こちらはとりあえずは味方だが。三村を取り込むことを考えているかもしれない。

熊谷や宍戸のようにな。

済し崩しに関ヶ原で西軍について防長二ヶ国になんて笑えん。

ほどほどに付き合えたらいいが、無理だな。そういえば、あの二人は阿波の国の出身で他国にも詳しくいろいろ知っているはずだ。

備中を富ませることが出来る人脈があるかもしれないか』

これからのことを考えながら部屋に戻って行った。









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