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生き残り兵乱記  作者: 遥か大地に
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夢の如く

近江の国 水口城 三村元親



備中から近江の国に移ってしばらくして、吉川元春様が鬼籍に入った。

儂は慌て、安芸に向かった。

理解者の一人だったため、悲しい。

元長が継ぐことになるみたいだ。

秀親も初を伴い、参列した。



安芸の国 吉田郡山城 小早川隆景



近江から元親殿がやってきた。

織田からも弔辞と使者と共に、織田有楽斎を派遣してきた。

関東遠征へ従軍したのが、結果として兄の鎧姿を見るのが最後であり、鬼吉川と呼ばれるだけあって、見事だった。

元親『小早川様』

儂は『近江からよく来てくれた』

元親『申し訳ありません、隆家様や元春様の最後を看取ることすら出来ず』

儂は『よい、秀親が代わりに備中より妻と共に来てくれた。』

儂は『かなり、落ち着いてきたの』

元親『はい、十年、二十年前に比べたら、平和になりました。

戦場で剣を交えることは失くなれば、良いのですが』

隆景は頷き、『そろそろ、毛利が与えた役割を解こうと思う、お主のおかげで毛利は現状維持と織田の無茶を抑えることが出来た。

東方には秀親がおるし、大丈夫だろう』

隆景『儂もそろそろ隠居しようと考えている、秀包に小早川家を譲り、新高山城で静かに暮らすとしよう。

信祐の相手、初殿の妹でお主の継室に仕えているくす殿に決まった』

元親はうなずいていた。



しばらくして、小早川隆景は隠居したが、相談役として輝元らを補佐し、元春が亡くなって、十年後、後を追うように亡くなった。



近江の国 水口城 三村 元親



小早川様が亡くなり、戦国乱世を生き抜いた大名、武将達がまた一人、また一人と鬼籍に入って行った。

小早川様が亡くなってしばらくして、第六天魔王が急性脳出血で亡くなり、信忠が後を継いだ。

第六天魔王は死ぬ前に遺書を残したらしく、

外に問題が起こったら、独眼竜。狸。

内に問題が起こったら、元親、秀親、猿。


とあり、元親は信忠に隠居を願い出たが、不可能だった。

信忠の補佐について十年が経ち、若い家臣達を育てながら、やってきた。

その間の内、正信、左近、宗治らが亡くなり、周りが一気に寂しくなった。

さらに松の丸や福も亡くなり、秀家に『この水口城はお主にやる、好きにせよ。

本当は備前の領主になったお主を見たかったが、忠家殿が生きておる。

継ぐことは出来ぬ、ここに別家を立てるようにと』

秀家『しかし』

儂は備中に引き上げると告げ、信忠に隠居を願い出て、許可された。

二度と近江を訪れることはなかった。



備中の国 備中松山城下 頼久寺 甲斐



私が側室として上がり、随分経ちました。

その間、松の丸様や福様が亡くなりました。

織田の茶頭の千利休殿の弟子の小堀遠州殿を招き、庭園を造りました。

殿の産業開発は凄みを増し、学ぶ者が全国から集まり、教えています。

直江山城守殿が訪ねてきました。

殿は『儂の後はお主や三成、吉継らに内政の相談役にせよ。

外は独眼竜でも良いが、立花を補佐とせよ。

儂は長くないが、独眼竜は野心を抑えておる。

信長様が亡くなった時すら隙を突こうとしたが、信忠様が立ち、頭を抑えてきた。

儂や信忠様が亡くなれば、天下取りを策す。

平時に乱を起こす、気をつけ、引き締めよ』

直江に諭してから、『信長様の過ちかもしれない、あれを嫁がせたのは』



元親の予想は外れたが、伊達への警戒は緩むことはなかった。



それからしばらくして、元親は病に倒れた。

死期を悟った元親は遺書を甲斐に託した。

『甲斐、儂の遺書だ、内政の機構はいつか改革により改められるが、出来る限り、民や百姓達に苦労をかけることはするな』と告げてから、元親は眠りについたが、そのまま、眠るように息を引き取った。


享年73歳。


内政、産業開発など近代化を勧め、軍事においても近代化を勧めた。

天下人の第六天魔王すら、一目置かれた。

信忠から諡を正一位 右大臣 備中守兼伯耆守。

領地にした領民からは名君として慕われた。

彼の墓の側には妻となった女性の墓が四つ囲むように立っている。

領民達からの弔いの花は尽きることはなかった。

































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