息子の縁組の決まりと相手の暴走
備中の国 備中松山城 三村 秀親
因幡から備中松山に戻り、近江の浅井家から、縁組が持ち込まれた。
あの三姉妹の内、まさか、あれとは合わないだろう。
年齢は近いからと、信長様は考えてくれたが、父は、私次第だとも。
義母は何も言わないが、嫌なようだ。
私自身、美濃にいた際、何度か、会ったことはある。
個性的だった。
ともかく、父や使者として来た者達に考える時間が欲しいと告げた。
同上 三村 元親
とにかく、使者達をもてなす必要があるので、準備するのと宿舎の準備をするように侍従に告げ、侍従達は慌ただしく、離れて行った。
分からないでもない。
私自身がそう言う立場になったら、考えてしまうか、裸足で逃げ出すか、するだろう。
早い内に決めておけば、良かったわ。
救いがあるとすれば、史実通りではなく、長政殿が生きていることと市も悲惨な最期を遂げてないこと、兄の万福丸こと信政が猿に殺されてないことだ。
史実よりは幾分かマシかもしれないが、どうなるか、分からない。
松の丸が『秀親殿が決めること』
俺は『お前はどうなのだ。』
松の丸『複雑と言うか、私自身、あれとは従姉妹ですが、仲があまりというか、かなり、悪いのは自覚しています。
末妹や次妹とはそれなりに仲が良かったのです、それに私の兄いや弟は次妹にとっては初恋の相手だったようですから』
俺は頭を抱えてしまった。
謀略家の問題から解放されたから、平和な生活を送れると思ったら、嫁姑の問題で平和な生活が脅かさるとはな。
あの謀略家が黄泉から呪いをかけて、俺の平和な生活を妬んでいるのか。
黄泉で呪いをかけているかもしれない。
同上 細川 幽斎
三日後、秀親殿は返事をくれた。
拒否すると言う。
茶々殿との縁組は拒否するが、初殿か江殿であれば、受諾しても良いとも。
ため息をつかざるを得なかった。
元親殿や松の丸殿は少し安堵していたが。
とりあえず、忠興は置いて帰ろう。
信長様や長政殿に伝える必要があるため、すぐに安土に戻って行った。
近江の国 安土城 第六天魔王
秀親はどうやら、茶々との縁組を拒否するようだ。
何度か顔を合わせたこともあるから、大丈夫だろうと思ったが、合わないと感じたか。
市が言うには初か江とは、仲が良かったと言う。
それと、元親の継室は三姉妹は従姉妹で、茶々とは元々、仲が悪いと言う。
波風立てるのは良くないか。
しかし、茶々を嫁がせる相手がそうそう、おらん。
困ったわ、やはり、茶々を呼んで、尋ねてみるも良かろう。
早速、第六天魔王は茶々を安土に呼ぶように手配した。
越前 敦賀城 浅井 長政
義兄上が茶々を安土にと言う。
秀親殿は茶々との縁組を拒否すると、清綱から聞いた。
気質が合わないと言うことだ。
そう言えば、何度か安土で会っているが。
とりあえず、茶々を呼んでみるか。
侍従に茶々を呼ぶように命じて、『どうしたものかな』
とひとりごちた。
しばらくして、茶々がやってきた。
同上 茶々
父から話があると言うから、父と話をしている。
『縁組だが、誰からか、分かるか』
私は『わかりませぬ』
父は『信長様、叔父上からもどうか、お前の気持ちを知りたい、相手は三村秀親殿だが、
従姉妹の竜子は、秀親殿の父、元親殿の継室になっている。
お前は、竜子とは険悪だ。どうだ?』
私は『お断りいたしたく存じます。』
父は『なら、初か江を嫁がせよう』
私は『妹達は何と』
父は『まだ、話してない。市にもな』
侍従に市に初、江を呼ぶように命じた。
しばらくしてやってきた。
母は『茶々の縁組の相手はやはり』
長政は『正式に命じられた訳ではないが、打診があっただけだ。
三人とも一応知っている訳だし、考えてみると良い』と言って、父ら離れて行った。
母『茶々、貴女は断るとしたら、初、江に話が行くことになるけど、初、江、どうかしら』
私は『なっ、江にはまだ早いと』
母『早くはない、確かに政略結婚であるのは確かだけど』
初『ひょっとして、姉上の縁組の相手は秀親殿ですか
』
母は頷き、『元親殿も忘れていたらしくてね、慌てて、兄上に持ってきたらしいわ。』
初が『わたくしが』と答えるより早く、茶々が『とにかく二人にはまだ、早すぎます。今から叔父上に会って断わってきます。』
意気揚々と茶々は安土に向けて、出撃して行ったが、第六天魔王の瘴気いや覇気の前に、、茶々は勇気を振り絞って、断りを入れようとしたが、第六天魔王は情け容赦なく、茶々を木っ端微塵に叩き呑めし、返り討ちにした結果、否応なく、秀親との縁組を決められてしまい、意気消沈して、敦賀に送り返されたと言う。
元親や秀親がそれを聞いて、衝撃が大きすぎて、危うく、フリーズし、あの世に行きかけたと言う。
フリーズから立ち直った元親は決まった以上、どうにもならないだろうからと考えた元親はこれだけは許可しなかったと言う。
茶々の乳母と乳兄弟を連れて来ることは許可しなかった。
将来、碌なことにならないからだ。
それについては第六天魔王はそれを了承した。
過日、茶々は備中の国に泣く泣く、送られたと言う。
付き添いは池田恒興と元助、輝政、赤尾清綱が護衛として付いて行き、元助と輝政は忠興同様、元親の元で内政のイロハを学ぶため、
備中に置いていかれた。
茶々の監視も請け負った記述が後世に伝えられている。
市は見送りの際、嬉しそうに手を振って送り出し、初と江は姉に秀親を取られたため、少し悔しそうな表情をしていた。