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生き残り兵乱記  作者: 遥か大地に
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統治のやり方と教育

備中の国 備中松山城 明智秀満



昨日、光秀様は帰っていかれた。

午前は武芸や自身が学ばねばならぬことに時間を割いている。

宇喜多の八郎殿も同じだが、まだ、幼いし、早いように見えるが、元親殿のことを考えてみたら早くはない。

元親殿は独自に大陸交易も行ってたこともあり、大陸の学問、諸子百家、医学、建築、陶芸、芸術などの書物を取り寄せていたようだ。

孫子、呉起は既に出回っているが、他の書物はそんなに出回ってはいない。

『平和になればいるので、必要だ。特に韓非や儒学はな。だが、価値観は違うので、どうなるのやら』と。

午後からは、元親殿の政治を見て学んでいる。

新田開発についての報告を受けている。

『三年は税を取らぬ。分かっているな、三成』

三成は頷き、『はい、安定した実りが出るまでは、取らぬようにするのが、殿の自論でしたな。毛利や長宗我部にも徹底していました。それと、救荒作物の奨励は』

元親『新しいものがあれば、試してみるが、今はどうだ。』

三成『隆佐様は、試してみても良いものは少ない、蕎麦、麦、あわ、ひえ、大豆などで凌ぐしかないと』

元親はそうか、『天候次第か。それより、前に試した、苗を育てて田に植えるやり方はどうかな』

三成『直に籾を撒くより、育ちが良いように見えます、試してみた百姓からも好評てすが、時期を間違えやすいと。』

元親『その辺りは慣れと田や天候による』

三成『もう少し様子見とします。』

三成は下がって行った。

続いて、伯耆の内政を行っている大谷吉継が入ってきた。

『治水ですが、難しいようです。やはり、治水に長けた人材を得る必要があるかと。

堺いや大陸から技術者を呼ぶことも必要かと。』

元親『武田から借りる訳にはいくまい。さすがに』

吉継『大陸から』

元親『そうなるか、それとも、武田に仕えてる人材を得る必要もある。』

吉継『なるほど、継戦派と和平派の争いが嫌で甲斐から離れる人材もいましか』

元親『それとなく、丹波に伝えておいてくれ。必要とあらば、召し抱えたい』

吉継は頷き、石高や隠岐の開発の結果報告を受けて、米子に戻って行った。

行長が入ってきて『西美作の産業開発ですが、なかなか難しいようです。養蚕や漆器をやらせてみたのですが』

元親『牧畜を試してみるか。牛馬を飼ってみるのはどうかな』

行長『産業とは言いにくいかと。』

元親は考え込んだ。

『ところで養蚕や漆器を始めて何年になる。

まだ三年か』

行長は頷き、『様子見としよう。それでダメなら考えていこう。慌てて答えを出すことはない』

行長は納得し、『他は大丈夫です。以上です。』

と言って退出して行った。

他には、鉱物資源の産出、火縄の技術革新、

火縄に変わる武器の作成などを見たりしている。

一息ついたところで私は元親殿に尋ねた。

『何故、此れ程までに』

彼は『この国に住み、国主となった以上、責任がある、秀満殿、私の領地、いやこの三村の周りがどのような状況だったか、ご存知かな、私が父より継いだ国は西に毛利、北は尼子、東は浦上、宇喜多と囲まれていた。

まあ、毛利とは今も昔も同盟関係だが。

儂は幼いながら、自国で産出するものを見て、技術革新や産業開発し、富国強兵を目指すしかなかった。

備中を父が統一するのを横目に、人材を集め、堺で自国で産出した銅や鉄、ベンガラなどを加工したものを売って、その資金で火縄を得た。

西美作や伯耆を得たことで更に豊かになった。山陰と山陽を結ぶ線を得たことによる。

これから先、どうなるか分からない、確かに

織田家の天下は変わらないが、平和になればよい。

不安解消のため、準備と備えがいる、まあ確かに過剰かもしれないが』



同上 三村元親



秀満、考えるのだ、参考にしてもよいが、真似はするな。

八郎にはまだ難しいかもしれないか、いや、

秀親は理解していたな。

あれは興味深い表情をしていた。

猿の能力は評価できるが、後見には向かない、下心いや野心があり過ぎる。

それと和泉守よ、お主自身が経験したことを八郎に経験して貰いたくないのは分かるが、過保護過ぎるのではないか。

まあ、分からないでもないがな。

だが、国主となる以上、贅沢は出来ぬ、他に示しがつかぬ。

質素倹約を元にしないといけない。

領主として必要な物を自身で見つけないと、良い領主にはなれぬ。



夜、俺は密かに妻とお福殿を呼んだ。



同上 お福



元親殿に呼ばれた際、八郎の教育について話された。

自身の経験から、比較対象してはいけないことと今の立場に不満があるのかもしれないがとの前置きがついた。

確かに10歳とはいえ、好奇心を持って尋ねるか、見て学ぶこともあるだろう。

理解するに難しいかもしれない。

元親『私が家督を継いだのも十代後半ゆえな、兄は荘家を継いだことによるし』

仕方なさそうに呟いていた。

竜子殿は『経験されたことが生きれば、良いのですが、同じ年頃の子と一緒に学ばせましょうか。』

元親『なるほど、しかし、あれは今、丸目のところにおる、剣の使い手ゆえ、学問を教えねば』

竜子『芸術にも詳しいかと、丸目殿に絵を習ってますし、蓮も織物を手伝ってくれてますし、それぞれ教育の仕方もあります。

興味を持つものを見つければ良いのでは、甘やかすだけでは良い結果にならないかと。』

私は頷いた。


しばらく話をして、二人は出て行った。












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