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生き残り兵乱記  作者: 遥か大地に
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預かり者への教育

備中の国 備中松山城 三村元親



俺は備前岡山から光秀より早く帰還するやいなや、親成、正信、左近、丸目、隆佐の五人を呼んだ。

俺はさらに、竜子も呼び寄せた。

竜子『殿、何かありましたか。』

俺は答えず、五人が来るまで待った。

しばらくしてやってきた。

時間にして五分くらいだろうか。

親成『どうした。』

元親『和泉守が亡くなり、後継が決定しました。弟の忠家殿になりました。』

正信『では、八郎殿は?。織田様の元へ』

俺は『左近、説明してやってくれ、俺から説明する気にもなれぬ』

左近は少し嫌そうな表情で『殿』

俺は『分かった』

俺は仕方なく説明した。

親成は溜息をつき、正信は顔色を変え、隆佐は頭を抱えている。


親成『こちらで預かるとはの、評価されておるの、織田に』

俺は『面倒事を押し付けられた気分で』

正信『しかし、どうにもなりませぬな。決定事項ですし』

俺は『下手な屋敷では、二人を守れぬから、城で暮らして貰う、不自由させられぬ。

教育と言っても、何を教えよというのか、剣は丸目、教養は左近、正信。』

親成『それもあるが、国主としての心構えじゃな。それが大切ではないかな。武将としての心構えは儂等でも教えられるが、国主としては元親、そなたが教えねばならぬ』

俺は『いかに、民を飢えさせぬようにするか、ですか、伯父上』

親成は頷き、『お主、自身の能力と毛利の大殿から学んだではないか。』

俺は『無我夢中でやってきただけです、西には毛利、東には浦上、宇喜多、北は尼子に囲まれ、生き延びるため、備中に住まう民のために』

親成『答えは出てるようなものではないか』

俺は教えられるものではない、と。

隆佐『殿、何故、織田や長宗我部、毛利などが高く評価されているか、殿が生き延びるため、国を守るために成されたことが国を富ませた、と言えるのでは。殿、私としては面白く見えたのですが、武将としての能力と新しい産業を生み出す能力を合わせている方はなかなかいないのです。』

まあ、確かにいないだろう、この戦国の世にはな。

正信『私のように、召し抱えられた者でも、殿のことは有名でしたからな、左近殿』

左近は頷いた。

俺は、溜息をついた。


それからしばらくして、光秀と八郎殿とお福、戸川秀安がやってきた。



同上 京極竜子



明智日向守光秀殿と殿が話された方と対面した、殿は城下に住まわせることは安全上出来ぬ、よって城で暮らして貰う、と。

私には気を配って欲しいとも。

私は頷き、『殿、和歌や音楽なら私が教えて差し上げられるかと』

殿は頷き、『日向守、儂が教えられることはあまりないが』

光秀『教養や武術、武将としての心構えもだが、統治者として能力の開花。政治学、領地経営だ、備中守の政治や経営が学ぶべきことが大事だ。』

殿は『確かに見て学べるだろうが』

光秀『儂も部下をつける、秀満を、使ってくれ』

殿へ更に頭を抱えていた。

私はお福殿や八郎殿らが暮らしやすいように

する必要がある。

殿の悩みが私には分かるような気がした。



同上 お福



私や八郎は三村殿に挨拶を行い、城に住むように言われた。

それは理解出来る。

敵地と言っていいのだから。

元親『武術や武将としての学問は、自身がやりたい時間にやると良い。

儂の政治や領地経営などのことは、机に座ってやることではない。

儂が行っていることは見て学ぶしかない、言いたいことがあれば、終わってからだ。

産業開発は既に考えているものがあるからな。丁度良かったとも言える。

竜子、あれを持って参るように』

竜子『あれはまだ、完成とは言えないかと、編みかけですし』

元親殿は『明日、見せて貰おうか』

竜子『はい。』

隆佐『まだまだですな、お方様』

竜子『慣れてないのです、皆。』

元親『思いつきだしな。時間をかけるしかあるまいよ。堺に出すまではな。』

光秀『元親殿、何を作られるのかな』

元親『織物よ、養蚕を行い、冬に農作業が出来ぬ副業よ。まあ、まだまだよ、売りに出せるものではないな。』

光秀殿は息を呑んでいた。

私も唖然としていたし、八郎は眼を丸くしていた。



同上 明智光秀



あれだけ、産業開発をして、まだ、飽き足らぬとは、驚かされる。

元親『秀満殿、そなたは八郎殿のように見て学ぶなどと言うことだけにはさせぬゆえ、覚悟しておくように』

不気味な笑みを浮かべていた。



夜はゆっくりとふけていった。













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