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生き残り兵乱記  作者: 遥か大地に
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輿入れと継室

備中の国 備中松山城 福原貞俊



宍戸の方が亡くなり、一年が経った。

元親殿は悲しみを秘め、内政に明け暮れたり、直々に九州に行ったり、多忙を極めている。

長宗我部への輿入れが迫り始めたことと内政の状況についての経過報告について、ここまでやってきた。

継室については既に知っている。


軍事的な話はやはり、最近なりを潜めた宇喜多のことだろう。

元親殿は警戒を怠らないようにしている。


宇喜多直家が亡くなるまで元親の警戒が緩むことはなかった。



同上 三村元親



遂に娘が四国に嫁ぐ日が次の日に俺は娘を呼んだ。

俺は『お前が嫁ぐに辺り、渡したいものがある。それは、長宗我部元親殿や信親殿、親貞殿、親泰殿の立会いの下、長物の蓋を開けよ。儂が正信や百地丹波らを使って調べたものだ。絶対に土佐に着くまで開けてはならぬ。

何人にも見せることはまかりならん』

娘は父の厳しい表情を見た。

一言『四国は冬は暖かいが、夏は暑い、体調には気をつけよ。後は水にもな』

そう言うと下がらせた。

娘は涙を流していた。



明くる日、儂は笠岡まで見送り、小早川水軍の護衛され、娘は四国に向かって行った。

程なく、元親は継室を迎えることになる。



東伊予 川之江城 長宗我部元親



三村からの輿入れか。

あっという間だったが、先頃、三村の姫君の母親が亡くなったという。

気の毒というしかない、亡くなってから嫁ぐまでの短い間、幼い弟妹二人を育てていたらしい。

私の妻が気にかけているようだ。

土佐に戻る前に川之江城の強化を考えておこうか。

それにしても姫君が持ってきた、この長物は一体なんであろうか、気になるが。

城に運び、姫君の紹介と長物の中身を確かめて良いか、確認した。

どうやら書物のようだが、気になった親泰が、書物を手に取り、確かめた瞬間、親泰の顔色が変わっていた。

儂自身も書物を開いた瞬間、顔色を変えた。


とんでもない書物だった。

阿波、讃岐、伊予、土佐の鉱山、鉱物資源、

新田開発、検地、産業開発、北四国から南四国への交通整備、銅の精錬法、硝石の産出、

鉄の産出などと言ったかなりの書物だった。

どうやら備中守はかなり調べ尽くしているようだ。

驚いた、四国の現在の石高も四つ合わせて七十万石ほど、だが、上手く新田開発を行うと倍以上にはなる。

土佐の開墾や讃岐の湿地を埋めて新田開発を勧めている。

私は義理の娘になる彼女に、ありがたいものをいただいた、参考にさせて貰うから、とにこやかに答え、同時に三村に畏怖を感じた。



四国の発展はここから始まったとされている。この書物は長宗我部氏の家宝として珍重されたと言うし、第六天魔王が四国の発展について尋ねられた際、『長宗我部元親は備中守の発案、実行したは我らにて。』と答え、『で、あるか』と答え、笑みを浮かべていたと言う。



備中の国 備中松山城 三村元親



娘が四国へ嫁ぎ、少し経ちました。

俺は質素に、継室を迎えました。

京極竜子殿か、史実で猿の側室になった女性だ。その前は若狭の武田に嫁ぐ予定だったが、行き違いがあり、浅井に戻ってたらしい。

長政もさすがにも持て余していたようだ。

姪とはいえ、浅井の主筋ゆえ。

幽斎の話は渡りに舟だったようだ。

浅井から感謝の手紙を貰いました。

彼女も行き場に困っていた、と俺に言っていた。

俺はため息をついていた。

家格は家より遥かに上だ。

京極家は近江源氏の近江守護、六角やあの尼子も同族だ。

本来、三村に来るような娘ではないがな。

だが、幼い子がいるため、母親は必要だ。

仕方ない、現在のような幼児虐待はないと信じてやまないがな。

そろそろ長宗我部が俺の作ったものに気づいたようだな。

国力を増強し始めたようだ。

良い傾向だ、四公六民制も取り入れ、はじめておるようだ。

しかし、讃岐は欲しかった、産業を起せるのだがな。

湿地を埋め、田畑を作り、砂糖を使った菓子をつくり、売り出したかったんだがな。



同上 京極竜子



近江から備中に来てかなり経ち、三村家の継室として入りました。

三村様から嫁ぐにあたり、頼みたいことがあると言ってました。

亡くなった先妻の子を育てて欲しいと。

頼まれた時は驚きましたが、仕方ないと思いました。

私も行く宛がないのですから。

二人の子供達は最初はどぎまぎしてましたが、私に慣れ、始めたようです。

それにしても家臣達の何人かには私と同郷の近江の出身者がいるとは、かつて浅井に仕えてた藤堂がいることにも驚かざるをえませんでした。

兄や弟も驚いていましたが、藤堂も驚いていました。

藤堂は現在、城の縄張りについて学んでいるようです。

殿と楽しそうに話していました。

高次も高知も殿に使え、始めました。

高次は伯耆へ、高知は備中高松へ向かうことになりました。

殿はまだまだ人材が足りないから、と言ってました。

最近は長宗我部へ嫁いだ娘との手紙のやり取りをすることが多く、三村家の奥向きについてどのようにやればいいか、尋ねています。

慣れていけば、大丈夫でしょうか?



しばらく、三村家は安定し、九州や北陸に転戦する。



美濃の国 岐阜城 第六天魔王



三村の娘が長宗我部に嫁いだか。

予定通り、西はしばらく大丈夫だ。

毛利と大友が激突したらしいが、これも大丈夫だろう。

それにしても三村は早々と継室を迎えたらしい、浅井の血も引いているらしい。

幽斎が頼み込み、備中に連れ帰ったらしい。

なかなかやるものよ。

それより武田は勝頼と信玄の旧臣達との対立が深まっている。

勝頼は継戦派、山県、馬場、真田、高坂らは和平派で、放っておいても国を割る。

やはり上杉は何度となく、越中、能登、加賀まで出張るが、年に一回程度、元親の手紙を読んだが、同じ考えよ。

長期戦に持ち込み、冬には帰還させる。

関東の北条と組むのも考えてみようか。

北条に上野を窺わせ、上杉の神経を逆撫でさせる行動を取らせてやろう。

東北に関しては群雄割拠だ。

あまり魅力がないから放っておこうか。

将軍家は・・・。

同じく放っておこう。





































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