第六天魔王の要請とお菓子販売
備中の国 備中松山城 三村元親
隆景様がわざわざ、尼子兄弟と家族やその側近を連れてやって来ました。
少し逗留して、今後の予定と誰が尼子家臣として復帰するのか、話しています。
立原久綱、山中鹿之介、秋上綱平、秋上宗信、松原誠清といった辺りです。
亀井茲矩は三村に仕えるのと条件に羽衣石城の城主にして欲しいということなので、南条は毛利から領地を貰えるようにしました。
茲矩に出来るだけ尼子の援護するようにと要請しました。
隆景「因幡を取らなかったようだが」
元親は頷き、「備中に何かあれば、戻るのが難しいので」
隆景は何を示唆しているのか分かるようです。
そんな時、宍戸氏と勝法師丸が部屋に入ってきました。
「伯父上、ようこそ」
勝法師丸も挨拶をしている。
隆景「ひさしいの。それに勝法師丸、大きゅうなったの」
俺は二人を見ながら、史実では隆景に殺されたが、歴史が変わったから、その心配はないかもしれないと思った。
明くる日隆景は安芸に帰って行った。
見送った昼、立原久綱がやってきて、俺に茲矩以外は尼子に復帰するということと茲矩が因幡との境の羽衣石城の城主にと希望してきた。
俺としては茲矩に、構わないが、尼子への援護をしっかり行うように書状を送った。
それを持たせる使者に大谷吉継を派遣し、吉継にはそのまま、伯耆の内政に当たらせるようにした。
そして、備中と西美作の内政担当に同じく登用した石田三成を充てた。
内政を充実させ、俺は何人かの山師に南備中の山に鉱物資源があるか、調べて報告を上げるようにした。
数ヶ月後に、小規模な金、銀、銅と言った鉱物資源が埋蔵されているというので、掘らせるようにした。
さらなる産業開発に力を入れることにした、
宇喜多の来襲中に、柚子の木を小西隆佐に言って取り寄せ、何軒かの農家に植えて貰いました。
勿論、何を作るかって言うまでもない。
餅に柚子の中身などを練り込み、砂糖をふりかけました。
柚餅子を作ってみました。
当初はまだまだ、売るには難しいかったこともあり、開発中でしたが、売れる商品にしました。
隆佐や弥九郎君にも試してみました。
好評だったので、堺で売ってみたら、上手く売れた。
柚餅子の噂を聞いた第六天魔王、浅井や猿、犬から、毎年送ってくれという結果に、第六天魔王は分かるが、何故犬と猿に・・・。
やっと分かった、あの二人にとって怖い存在
がいるからなあ。
無理もない。
備中の国 笠岡 小西隆佐
また殿が面白い物を作りなさった。
柚餅子と言うものを。
堺で売るとかなり、売れた。
今井宗久殿が面白そうに、殿の事に興味を持っていた。
『三村はんは、商人になれるんと違うかとも。』
たまたま、織田殿がそれを聞いて、笑って
『宗久よ、面白いことを言うではないか。この柚餅子、面白い。また、三村か。あれは備中や伯耆という国を富ませたいのであろう。
それが人々の暮らしを豊かにしようと考えているようだ。銅や銀、鉄、柚餅子などそれを護るために生かしている。武士が銭勘定すべきではないと言うが、違う。武士が国を富ませるには銭勘定をすべきなのだ。その結果が火縄を儂以上に持つに至った。柔軟な思考が
毛利元就が他家に嫁がせようとした孫娘を破談にし、三村に嫁がせた。元就に匹敵する謀略家、宇喜多直家を退けておる。それに、儂との戦いを避けるように動いた。儂と戦えば一度は勝てるかもしれないが、儂の経済力と技術力に押されると見たのだ。それにしても惜しいのう。あれの能力は猿や儂の甥や蒲生にも劣らぬのに産まれてくるところが間違えておる。惜しいことよ。上手く立ち回れば、天下を狙えように』
そう言って席を立たれた。
私としても面白い方だと思う。
だからこそ、あの柔軟さこそ、三村家が生き残れたのだろう。
当初三村家は西に同盟していた毛利、北は尼子、西に浦上、宇喜多といった強国に囲まれていた。
あの方が、備中の鉱物資源や産業開発したことで、軍事力を強化した。
その点では私も利用されたが、私も儲けることが出来た。
周りが一目おく火縄の所持と火薬、硝石の量は中国地方ではかなりのもの。
日の本で行えば、日の本の国力は豊かなものになるだろうに。
山城の国 京 第六天魔王
いずれ武田と戦うには火縄がいる。
火縄は私の所は元より浅井や徳川、細川、明智、筒井から集めるが、少し足りぬ。
三村に出させよう。
千梃ほど貸して貰おうか。
あれがかつて尼子を破った先例を広い場所で行えば、面白い。
武田が徳川を攻める時こそ、武田が滅びる時だ。
勝頼よ。楽しみに待て。
備中の国 備中松山城 三村元親
俺は、今考えていることがある。
もう少しすれば長篠だ。
火縄を貸せという要請があるだろう。
その時、人質を出そうか考えている。
毛利は元総様や宮松丸を出すと言う。
俺は勝法師丸を出すのだが、妻が納得するだろうか。
娘もいずれ、四国へ渡るから、寂しくなる。
勝法師丸にはもっと広い視野を持ち、第六天魔王の柔軟な発想や価値観を培って欲しいか。とりあえず妻を呼ぼう。
その夜、妻に話した。
「いずれ近い内に勝法師丸を織田の人質に出すことになる、まだ、そういう要請が来てはいないが、覚悟しておいてくれ。」と。
妻は話辛そうにしていたから覚悟していたようだ。
「寂しくなりますが、遠国に出すので」
俺はすまぬと一言だけ言って抱き寄せていた。
同 宍戸氏
勝法師丸を人質に出すことは覚悟していましたから寂しくなりますが。
殿もいますから大丈夫です。
私もまだ若いですから、二人以外に作っておきましょうか。
殿、内政ばかりやってますから、大丈夫でしょう。
少し顔を赤く染めて。
随行は本多殿の子、千穂に頼みましょう。
あの子も頭が良いですし。
しばらくして織田から火縄を貸して欲しいとのことで元親は寝不足ながらも聞いていたが、千梃の要請を承知し、二千準備し、ついでだからと隆景から人質に出す元総や才菊丸、勝法師丸の同伴として二千の兵と共に連れて行くことになる。
元親だけは第六天魔王と三河まで行くことになる。
第六天魔王も千梃でいいの二千挺も持って来たので、苦笑し、遠慮なく使うから、力を貸せ。
俺はそれを了承した。