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ある日の<俺> 9月12日。 秋の花に思う
今日は戸田さんちの花壇の整備のお手伝い。
秋の花を植えるため、花期の終わったものは取り除き、雑草を引っこ抜く。ガーデニング用の小さな鋤で地面を耕して、必要な土壌改良材を撒き、また耕す。
結構な肉体労働だった。
・・・腹、減った。
帰りに、戸田さんの奥さんが白と藍色のリンドウの株をくれた。
派手ではないけど、凛とした佇まい。ああ、秋の花だ。
さっそく屋上のプランター菜園のいい場所に植えよう。
秋の花といえば、母さんの好きだった萩を思い出す。
実家には、母さんの丹精した株があって、秋には小さなチョウチョみたいな花をいっぱいつけていた。終わりになるにつれ、花びらが地面にこぼれて、小豆色の絨毯みたいになってたっけ。
・・・屋上には、萩の鉢も置いてみようかな。