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ある日の<俺> 8月17日。 お土産長者

このところ、お得意様から海外旅行土産や帰省土産、温泉旅行土産をよくもらう。お盆休みを前後にずらせたり、大胆にも陸路空路混み混み真っ最中に出かけた人たちが、五月雨式に帰ってくるせいだ。


サービスで、留守宅のパトロールもやってたからな。朝夕の犬散歩のついでにちょこちょこ回ってただけだけど、そういうのでも十分空き巣のヤル気が殺がれるものだと巡回のお巡りさんも言っていた。あ、この辺りの交番のお巡りさんたちとは以前から顔なじみなんだ、俺。


仕事柄、依頼者の庭で黙々と草むしりしてたり、たまに屋根に上ってごそごそしてたりしてるからなぁ(樋の掃除とか、風で飛んだ洗濯物を拾いに行くとか)。不審者と間違われないためにも、顔繋ぎは大切だ。


お土産のお陰で、酒や甘いものや漬物には困らないけど、米が無い。買いに行かなきゃならないんだが、忙しすぎてその暇がないんだ。


こういうのって、ちょっと「医者の不養生」に似ているような気がする。


え? ちょっと違う?


んじゃ、「紺屋の白袴」。仕事だから人の買い物には行けても、自分のものを買う暇がない。そういえば、トイレットペーパーも切れかけてたっけ・・・


今夜は何を食べようか。小田中さんにもらったマカダミアナッツチョコレートか、あるいは、浜口さんにもらった温泉饅頭か。


うう。甘いものばっかり。


かといって、辛いものだと塩辛とか明太子とかスルメになるし・・・

これって贅沢? 俺、実は酒とバラの日々?


けど、偏ったもの食べてると元義弟の智晴やら元妻、娘のののかにも責められるし・・・


と、悩んでいたら、今日ヨーロッパ旅行から帰ってきた嶋崎さんが、ドイツ土産の黒パンとレバーペースト、ハーブ入りのクリームチーズをくれた。たしか、杉原さんからもらったいちじくのジャムなんかもあったし、村本さんの帰省土産は桃だ。


何だかんだで、いつもよりリッチな食卓かも。


・・・いちじくのジャム、ののかにも食べさせてやりたいなぁ。去年、ヨーグルトにのせて出してやったら、ものすごく気に入ったみたいだった。


ふう。


今年も盆が過ぎて、そろそろ秋風が立つ。


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□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もそっちの<俺>も、<俺>はいつでも同じ<俺>。
『一年で一番長い日』本編。完結済み。関連続編有り。
『古美術雑貨取扱店 慈恩堂奇譚』古道具屋、慈恩堂がらみの、ちょっと不思議なお話。
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