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ある日の<俺> 6月12日。 腹が減っては

寒い。


昼間もわりあい涼しかったが、日が落ちて、夜が更けるほどに冷えてきた。Tシャツ一枚では風邪を引いてしまいそうだ。毛糸のセーターが恋しくなるくらいの六月ってどうなんだよ。


・・・とりあえず、長袖シャツでも着ておこう。


しかし、何でこう寒いんだろう? しみじみと寒い。冷え性ってわけでもないのになぁ。


ノートパソコンに顧客管理のデータ入力をしながら、つらつらと考えてみる。結論。風呂入って寝よう。


「ん?」


データを保存して立ち上がった拍子に、猫餌が目に入った。あ、居候の三毛猫に餌入れてやるの忘れた。俺も晩飯食うの忘れた。


「そりゃ、冷えるわ・・・」


独り呟きつつ、猫に餌をやりに行くべく部屋を出る。コンクリ廊下の隅に置いた餌入れからは、朝に入れた分はすっかり無くなっていた。がさがさと音を立てながら餌を補給していると、どこからともなく現れる三毛猫。すまん、お前も腹減って寒いよな。毛皮着てても。


カリカリと食べ始めるのを眺めつつ、俺は部屋に戻った。


「ラーメンでいいか・・・」


野菜を入れて、卵も入れて。面倒だからとそのまま食べたら怒られるからなぁ・・・智晴とか元妻とかからだけじゃなしに、顧客の皆さんからも小言を喰らう。


・・・俺って幸せかも。


湯気の立つラーメンを一気に食べ切ると、いきなり暑くなってきた。やっぱりメシ抜きがいけなかったんだな。さっきまで気分も落ち込みぎみだったけど、今はそうでもない。むしろ、元気になってきた。


俺は子供か。


何でもいいや。この勢いでデータ入力やってしまおう。溜めてしまってるし。


・・・気づいたら、鼻歌を歌ってた。色んな意味で単純だなぁ、俺。


この年は冷夏。


「ひもじい 寒い もう死にたい 不幸はこの順番で来ますのや」と、『じゃりン子チエ』おばぁはんが言ってた。真理だと思う。

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□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もそっちの<俺>も、<俺>はいつでも同じ<俺>。
『一年で一番長い日』本編。完結済み。関連続編有り。
『古美術雑貨取扱店 慈恩堂奇譚』古道具屋、慈恩堂がらみの、ちょっと不思議なお話。
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