55/520
ある日の<俺> 5月28日。 猫が拾ったドーベルマン 1
困った。
少し前からこのボロビルに住み着いている三毛猫が、どこからか子犬を拾ってきたんだ。
あー、こら。ドアが開いたからって勝手に部屋に入って来んな! メシを買いに出るところだったのに。おい、勝手にソファに上るな! よけいボロになるじゃないか、もー!
はぁ・・・
そういう話を聞いたことがないわけじゃない。自分のところの飼い犬や飼い猫が、野良の子猫や子犬を拾ってきて驚いたという飼い主の話を。だけど、俺がそれを体験するとは思わなかった。
だいたい、この三毛猫は俺が飼ってるんじゃないし。・・・しょうがないからたまに餌はやってるけど。何たって、あいつはある意味「お尋ね」者だからなぁ。
なんたって、雄の三毛猫だ。出るところに出たら、そりゃー高値がつくだろうって猫だ。
うっかり野良猫してたら、誰かに捕まってしまうだろう。それを知ってかどうかは知らんが、このボロビルにもぐりこんでからは、あいつ、滅多に外に出ようとしなかったんだが・・・
どっから拾ってきた、そのドーベルマンの仔犬。
お前、お乳も出ないくせに無謀なやつだな。こら~、俺を睨むな三毛猫め。何を訴えてるんだ? 犬用ミルク買って来いってか?
そいつの母犬はどこだ~!




