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ある日の<俺> 2022年3月1日。  台所にも春の訪れ

もう3月も12日ですが……。

短いです。

腹が減っていた。とにかくすぐに食べたかった。


ご飯は無い。パンも無い。インスタントラーメンは切らしてる。あるものとすればパスタのみ。Oh, My!(まあ大変)ってことで、ペペロンチーノだ。


手っ取り早く電気ポットの湯を鍋に移し、もう一度沸騰させてから、目分量でパスタを投入。塩も入れる。茹でてるあいだに、鷹の爪は輪切り、ニンニクはみじん切り。右手に文化包丁、左手にはフォークを握って。


いや、手に臭いが付くから……この後まだ仕事あるから……。客先行くならまずペペロンチーノは止めておけよって話だけど、歯磨きするから……牛乳も飲むから……。


などと、誰にともなく心の中で言い訳しながら、フライパンを用意。火をつけるのは後にして、鷹の爪とニンニクを入れる。フライパンを温めてからやると焦がしてしまうから、俺はいつもこのやり方。


さてオリーブオイルを融かさなきゃ……寒くなってから、ずっと固まってるんだよなぁ。使うときは手で温めたりコンロの火で炙ったり、手間が掛かって面倒で──。


「あ」


オリーブオイル、融けてる。液体に戻ってる。

ああ、春だ。もう春なんだなぁ。


弥生ついたち、今日から三月。


朝からずっと雨で、ちょっとだけ気が滅入ってたけど、何か元気出てきた。さっきのお客様の、わりと傲慢な無茶ぶりにお応えしてきた疲れが、オイルと同じように融けて流れていった気がするよ。


ひゃっはー! ニンニクましましで景気よく炒めてやるぜ!

あ……ちょっとコゲた。ま、いいか。茹で上がったパスタを入れて、塩と胡椒と──。


うん、我ながら美味い。

よっしゃ、午後からも頑張るぞ!

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□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もそっちの<俺>も、<俺>はいつでも同じ<俺>。
『一年で一番長い日』本編。完結済み。関連続編有り。
『古美術雑貨取扱店 慈恩堂奇譚』古道具屋、慈恩堂がらみの、ちょっと不思議なお話。
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