ある日の<俺> 5月24日。 欠陥住宅?!
今日は午後から大雨。
夕方まで止みそうも無いので、臨時の犬散歩依頼が入るかな、と思っていたら、全然違う方向から仕事が来た。
雨漏り。
つい先ごろ、公園脇の建売住宅に入居したばかりの植村さん。ご主人が出張中で心細かったらしい奥さんが「欠陥住宅だったんだわ!」と真っ青になっていたが、何のことはない、樋に落ち葉が溜まっていただけだった。そこにこの大雨で、行き場を失って溢れた水が天井裏を伝って室内にポタポタと。
そこだけ見たら、欠陥住宅だと思うわな、そりゃ。
だけど俺は地域密着型の何でも屋。樋の落ち葉掃除が必須な地域を心得ているのさ。住所を聞いて、さっと用意した梯子と軍手とハンガーを曲げて作った掃除用具でほいさっさ。
植村さんの奥さんは、欠陥住宅でなかったことにほっとして、力が抜けたらしい。物音で顔を出したお隣の幸村さんちのお婆ちゃんの肩に縋って子供みたいに泣いていた。「良かったねぇ」と頭をしわしわの手で撫でられて、もっと泣いていた。・・・植村さんの旦那さん、早く帰ってあげてください。
まあなー、一生モンの買い物が大失敗だったか? と思ったら泣けるよな。違うと分かって安心してもそりゃあそれで泣けるだろう、うんうん。とか思いつつ、感謝されて帰ってきた。
うわー、ずぶ濡れ。