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ある日の<俺> 2022年2月27日。  二月の白菜

ちょっと短いです。

──え? 二百円? マジで?


眼を疑って、俺は立ち尽くす。


だって、白菜ひとつまるまる二百円っていうんだ、二百円。今はさ、野菜が高くなってて、スーパーでも半分に切ったやつが百九十八円もするというのに。しかもここコンビニ。便利なかわりに、何でもちょっとお高いところ。


期間限定キャンペーンのポスターの貼られた、ガラス壁の内側。隣が本売り場で、ちょうど一番近い端っこがアダルトな雑誌なのがアレだけど──、違うんだ、俺が用があるのは、白菜なんだ。


ん? 白菜に驚いて気づかなかったけど、ジャガイモもある。これは小さくてちょっと使いにくそうだけど、やっぱり安い。買う。レンチンしやすそうな大きさ。


アンパン買うつもりだったのに、すっかり忘れて白菜とジャガイモ抱えて帰ってきた。レジで支払いするときに聞いたら、ここのオーナーの兄弟がどっかの道の駅に野菜を出荷した帰り、週一で寄って置いていくんだって。


出会えたら、ラッキーですよ、とコンビニバイトの子が教えてくれた。いつもはすぐ売り切れちゃうとか。


俺ラッキー! と喜んだけど、よく考えたらすぐ食べられるものが欲しくてコンビニ行ったんだ……。


しょうがない、食パンを冷凍してあるから、なんちゃってチーズオムレツ(ただのチーズ入り掻き卵だ)でも焼いて、簡単サンドイッチとしゃれ込もう。ケチャップ多めにかけると美味いんだ。


作るの面倒、でも腹が……と思ってアンパンだったんだけど、作り始めるとどうってことないんだよな。よし、インスタントのスープも付けよう。昨日の残りのほうれん草のおひたしをオムレツに混ぜたら、野菜も摂れるしな。色もキレイだ。


白菜は、鍋にする。今日の晩メシはそれに決定。鶏肉あるし、たしかブナシメジとシイタケもあったはず。土鍋に昆布茶を適量といた出し汁を作って、そこにに材料全部入れて蓋して炊けばそれで出来上がり。


顧客様に良いポン酢をもらったのがあるから、美味い鍋になるぞ。今から楽しみ。シメは雑炊にするんだ!


それにしても、二月ももう明日までか……。他の小の月は三十日まであるのに、二月はそれより二日も少ない二十八日。なんかこう、歩いてていきなり断崖というか、道が途切れててびっくりするっていうか──。


まあ、すぐに三月だ。

三月は三十一日まであるし、なんか安心。


さて、腹もくちくなったし、次の仕事、頑張るぞ!

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□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もそっちの<俺>も、<俺>はいつでも同じ<俺>。
『一年で一番長い日』本編。完結済み。関連続編有り。
『古美術雑貨取扱店 慈恩堂奇譚』古道具屋、慈恩堂がらみの、ちょっと不思議なお話。
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