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ある日の<俺> 2018年8月8日。  昨日は立秋

立秋翌日、早朝。

ちょっと驚くほど肌寒い。


空はよく晴れていて、水色と青の中間くらい。これからだんだん濃い青になっていくはずなんだけど、携帯で見た天気予報は雨マーク。降るのかな? 雲なんか、細筆でなぞった程度にしか見えないんだけど。


まあ、また台風が来てるらしいしなぁ……。台風13号だっけ。台風っていつの間にか名前が付くようになったけど、まだピンと来ない。この間の迷走台風も、何とか言ってたけど、全然記憶にない。台風ってさ、後から後から迫り来るものだから、番号のほうが認識しやすいと思うんだ。


「ふう……」


屋上のプランター野菜たちに水を撒き終えて、腰を伸ばす。この夏は異常な高気温が続いているせいか、茄子は失敗したし、ピーマンもカメムシにやられてしまい、辛うじて食べられる程度のやつがたまに採れるだけ、トマトに至っては、花が咲くだけで実が成らない。


難しい野菜を作ってるわけじゃない、個人の趣味菜園でもこうなんだから、天候不順の影響をもろに受ける農家なんか大打撃だろうなぁ、としみじみ思う。スーパーの野菜の値段が上がってるけど、しょうがないよなぁ、と納得せざるを得ない。


そんな中、鉢植えのブルーベリー、こいつだけが元気だ。去年の誕生日、娘のののかにもらったもので、四月ごろには満天星躑躅みたいな花をたくさん咲かせていた。先月半ばくらいから実をつけ始めて、今はほぼ毎日食べごろに熟したものが採れる。不思議だ、普通に朝晩水を遣って、たまに肥料を施すくらいなのに。これがまた甘いんだよなぁ。


今朝もちょうどいい頃合いのが、二粒、三粒。無農薬だし、朝食後のデザートがわりに気軽に口に放り込む。うん、採れたてとれとれとってもジューシー。自然の恵みのありがたや。そして自分の食べて美味しかったものを、パパにも食べてもらいたい、という娘の気持ちのうれしいことよ。


さて、今日もまた何でも屋の仕事頑張るぞ。まずはグレートデンの伝さんのお散歩だ。


飼い主の吉井さんちに向かうため、ゆっくり自転車を漕ぎ出すと、ひんやりとした風が腕や頬を撫でていく。背中に、東から射す太陽の光が当たるけど、あまり強く感じない。立秋の昨日は曇りだったから気づかなかったけど、やっぱり秋は来てたんだな。



待ってろ、伝さん。涼しいから、今朝はいつもより長いコースを歩くぞ!


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□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もそっちの<俺>も、<俺>はいつでも同じ<俺>。
『一年で一番長い日』本編。完結済み。関連続編有り。
『古美術雑貨取扱店 慈恩堂奇譚』古道具屋、慈恩堂がらみの、ちょっと不思議なお話。
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