ある日の<俺> 2016年12月18日。 猫と枯れ落ち葉
短いです。
今日も晴天、青い空。
風に舞うように、くるくると回りながらいくつも落ちてくる茶色の葉っぱを横目で見ながら落ち葉掻き。
明るい日差しを弾きながら舞い踊るその様子は幻想的だけど、てんでに転がって掃きにくいことこの上ない。枯れた葉の縁がくるんと巻いて、ちょうどよく風を受けるものだから、地面に落ちたらかさかささわさわ、生き物みたいに転げまわって箒から逃げるみたいだ。
そんな枯れ落ち葉を狙って、飛びつく野良猫が一匹。
逃げる落ち葉、追いかける猫。狙いをつけて飛び掛って、あと少しというところで風が吹き、猫はわさわさと吹き溜まる落ち葉たちに埋もれてしまった。
「にゃあ!」
ひと声鳴いて逃げる猫。今度は落ち葉に追いかけられる。走って、跳んで、パンチを繰り出して、追いついた落ち葉の塊に蹴りを入れる。そのまま転がって、俺がせっかく掃き集めた山に突っ込んで……。
「こら、営業妨害だぞ」
そう声を掛けると、ぴゃーっと走って逃げて行った。遠くのほうでこっちを窺うその姿を見ながら、猫は何でも楽しくていいなぁ、と苦笑していると、散らされた落ち葉の山の中に何かキラッと光るものを発見。
「ん?」
軍手を穿いた手で掻き分けてみると、それは何の変哲も無い鍵。落ち葉に埋もれていたのかな、掃き集めてるときは全然気づかなかった。
「あ……」
でも、ちょっと驚いた。刻印された数字が元妻の誕生日と同じ。こんな偶然もあるんだなぁ。それにしても、落とした人が困ってるだろう。これが終わったらすぐ交番に届けに行こう。
「お前。お手柄だぞ」
まだこちらを狙っている猫に摘んだ鍵を振って見せると、またダダーッと走ってきて、俺の足をパシッと叩いて逃げて行った。
遊んでくれてると思ってるのかな。猫は何ででも遊ぶからなぁ。あいつら遊びの天才だ。
ん? てことは俺のほうが遊ばれてたのか。いいけど。単調な仕事のひととき、無邪気な猫の戯れは癒しだ。