ある日の<俺> 2016年12月17日。 わんこも俺もコタツが好き
空は爽やかに晴れて、冷える。
グレートデンの伝さん、セントバーナードのナツコちゃんの散歩が終わって、俺は今、柴犬のシーバくんと朝の公園を歩いている。
「寒いなぁ、シーバくん」
「わん」
ハッハッハッ、と吐く息は真っ白だけど、シーバくんは元気いっぱいだ。
「冬用の毛皮になっても、やっぱり寒いかい」
「わふん」
「そっかー。シーバくんはコタツが大好きだもんなぁ」
「わん!」
シーバくんちには猫のゴローちゃんが同居してるんだけど、ゴローちゃんは暑がりらしく、コタツ布団の上で丸くなっても、中には滅多に入らないんだそうだ。その代わりにシーバくんが潜り込んでて、この子たちは中身が逆なのかも、と飼い主さん笑ってた。
「コタツはいいよなぁ。あれは日本人の生み出した最高の発明品だと思うんだ……」
俺ん家、というか、事務所兼住居に借りてるあのコンクリート打ちっぱなしのボロビルは、冬は本当に冷える。夏も暑いというより熱いけどそれはともかく、寒くなってくると、容赦なくこっちを凍らせにかかってくる。ちなみに夏は茹でてくる。
初めは湯たんぽでしのいでたんだけど、どうにも寒くてたまらなかった。風邪を引いて寝込み、娘のののかや元妻や元義弟の智晴に叱られてからは、暖房にも気を遣うようになった。エアコンも使うようになったし、部屋の隅にすのこと断熱材で擬似床を作製し、その上に畳を敷いてプチ和室エリアを作り、どーんとコタツを置いている。
冬場はそこにノートパソコンを置いて顧客管理や売り上げ入力なんかの事務仕事をするんだけど、足元が温かいとついついコタツに潜り込んでしまい、先に入っていた居候の三毛猫に猫キックされながら、いけないいけないと思いながらも気持ちのいい転寝を……。
「コタツ、いいよな!」
ダメな自分を誤魔化すように、シーバくんに声を掛ける。
「わんわん!」
最高だよ! というように、シーバくんは俺を見上げてバシバシと尻尾を振ってくれる。
一人と一匹、意気投合して蒸気機関車のように白い息を吐きながら、公園を歩く。遠くから響く低いエンジン音に目を上げると、そこにはシルバーグレイの旅客機。空はまだ薄い青だけど、これからもっと青くなるだろう。
今日はいいお天気だ。