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ある日の<俺> 2016年9月21日。  台風は過ぎたけど

昨日の台風は、夕方には去った。


犬の散歩にも何の支障も亡くなったので、グレートデンの伝さん、ゴールデンリトリバーのゴンちゃんを連れて順番にお花見コースを巡った。公園コースは台風の後の落ち葉や折れ枝を危惧し、止めておいた。


セントバーナードのナツコちゃんは、飼い主さんと散歩に行った。ご主人、早く帰れたらしい。ゴンちゃんを連れてる時に会ったけど、やっぱり俺といるより飼い主さんと一緒のほうがうれしそうだった。うれしすぎて飛び跳ねてたから、大変そうだったけど……。


奥さんだと振り回されるから、ご主人でないとナツコちゃんの散歩が難しいんだよな。短距離短時間なら奥さんでも何とかなるらしい。


そして、今日。午前中は雨降らなかったけど、どよーんとした天気。風は無い。一回くらいは降りそうだから、手早く草むしりした。大雨の後は土が軟らかくなってるからやりやすい。


別のお宅で草も刈った。家具を搬入するとかで、ちょっと急ぐらしい。通販でベッド買ったはいいけど、玄関からだと色々邪魔で入れるのが無理なことに気づいたんだって。で、普段放置してる庭側から入れてもらおうということになったらしい。──刈るのは、濡れてないほうがやりやすいかな、やっぱり。鎌の切れ味が。


今回、雨樋関係は少なかった。これまで、頼まれて大分とあちこち修理とか掃除とかしたから、地味に効果が出てるのかも。嵐の後の落ち葉詰まりは、近くに高い木があればしょうがない。でも、今日は葉っぱじゃなくてパンツが詰まってた……。近所のマンションの、ベランダあたりから飛んできたんじゃないかと睨んでるんだけど。洗濯物の取り入れ忘れだと思うんだよな。


ま、何というか、男物で良かった。


以前、二階の物干し台から一階の屋根の上に落とした洗濯物を拾って欲しいっていう依頼があったんだけど、持って行った折り畳み式脚立で上ってみたら、可愛いレースのブラジャーとかショーツとか、まとめて落ちてた。突風に煽られて、洗濯籠をひっくり返したらしい。


瓦にへばりつく薄物を全部拾って降りたんだけど、そこんちの娘さん、泣いてた……。思春期の年頃だもん、よそのオッサンに自分の下着、触られたくないよな。思春期でなくても嫌だろうけどさ……。あれは気まずかったなぁ。風の強い日で、しっかり持ってないとさらに飛ばされそうだったし。


俺だって、女物の下着を触るのは……これは仕事、これは仕事、と唱えながら拾ったっけ。知らない人が見て、下着泥棒とか思われたらどうしよう、って嫌な汗を掻いた思い出。


風は色んなものを運んでくるよ、うん。


今だって、どっかからソースの焦げるいい匂いが漂ってきて……。焼きそばかな? お好み焼きかもしれない。雨降る前に色々済ませようと動き回ってたから、昼はとっくに過ぎてる。腹減った……。


あー、空がさっきより暗くなってきた。今にも降りそうだ。早く帰ろう。帰ったら昼飯だ。俺には昨日作ったカレーがある。続けて食べて飽きたとか、そんなことはない、はず。香ばしいソースの香に心奪われるなんてことは……。


……

……


うわ、項に雨粒。しょーもないことで悩んでる間に、降ってきた。急ごう。そんで、大人しくカレー食べるんだ。あっ! 炊かなけりゃご飯が無い。忘れてた……。


くっ!

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□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もそっちの<俺>も、<俺>はいつでも同じ<俺>。
『一年で一番長い日』本編。完結済み。関連続編有り。
『古美術雑貨取扱店 慈恩堂奇譚』古道具屋、慈恩堂がらみの、ちょっと不思議なお話。
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