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ある日の<俺> 2016年9月20日。  台風の日はカレーと読書

大型台風が間違いなくやってくるということで、今日はさすがに昼間の外仕事は休ませてもらった。


顧客は皆さん思いやりがあって、こちらから連絡する前に、本日分一旦キャンセルの電話をくれていた。まあ、草刈りとか草むしりとか、そういうのだ。あと、病院通いの付き添い。さすがに今日はやめておくようだ。来週でもいいらしいし、行き帰りのほうが危険だもんな。


雨樋は──きっと台風の過ぎた後のほうが依頼が多いだろう。庭の水遣りなんて言うまでもない。ここ二、三週間、まともに水遣りに行ったほうが少なかったな。秋雨前線め、早く後退しろ。


大型犬の散歩だけは早朝から行ってきた。グレートデンの伝さんと、セントバーナードのナツコちゃん。ナツコちゃんは今日も元気だった。まだリアル嵐の前の静けさで、雨も降ってなかったから良かった。


「今日は大型台風が来るらしいんだよ」と言いながら、いつもより短めの散歩だったんだけど、今までも暴風を伴うような荒天のときは控えめにしてたから、そこらへん、動物の勘で分かってくれてると思う……伝さんは。ナツコちゃんは、うーん。


まだ朝といえる時間帯だけど、そろそろ雲行きが本当に怪しい。一触即発みたいな感じ。あ、ばらばらっと大粒の雨が、窓を。


来た~、窓に! 窓に! って、独りラヴクラフトごっこしてる場合じゃないな。


ザァッ、っとバケツの底が抜けたみたいな豪雨。風がびゅーん。……こんな中、草むしりとかしたくないよな。溺れそう。


大自然の荒れ狂う音が怖いのか、居候の三毛猫は俺のパイプベッドに畳んだ夏布団やタオルケットの中から出てこない。──今夜あたり冷えそうだから、掛け布団を出そうか? でもまだそれほどじゃないしな……。毛布を出すか。暑ければ畳んでおけばいいし。それとも、フリースジャケット出しておくか? 寒ければ毛布代わりに掛けてもいいし……。


まあ、今のうちに長袖シャツとかジャケットとか出しておくか。台風が過ぎたらいきなり涼しくなるだろうし。今日は時間あるしな……。ののか、大丈夫かな? さすがに学校は臨時休校だろうから、大丈夫か。あとでメールしてみよう。


……それにしても、豪雨と暴風の音怖い。居候の三毛猫ほどじゃないけどさ。こういう時はやっぱりテレビかな。でも騒がしいのは嫌だな。ラジオでも聴くか……?


よし、ラジオ聴きながら昼飯作ろう。晩も食べられるやつ。出来れば明日も食べられるような──カレーだ。カレー作ろう。あ、じゃが芋が無い。でも、人参と玉葱ははあるし……茄子も……。うん。じゃが芋無くてもいいか。肉は足りなさそうだけど、ツナ缶混ぜればいけそう。


ご飯を炊くのだけは忘れずに。一度忘れてしまったことがあって、あの時は虚しかった……。


ん? 暇つぶしといえば、うっかり忘れてたけど、本だ! このあいだ神埼の爺さんにもらったんだけど、時間無くてすっかり忘れてた。今日みたいな日に読まなくてどうするよ、俺。ピーター・ラヴゼイの『偽のデュー警部』。読んでみたかったんだよな。


さあ、ちゃっちゃとカレー作って、今日は久しぶりの読書を楽しみますか。読書の秋、なーんてな!

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□■□ 逃げる太陽シリーズ □■□
あっちの<俺>もそっちの<俺>も、<俺>はいつでも同じ<俺>。
『一年で一番長い日』本編。完結済み。関連続編有り。
『古美術雑貨取扱店 慈恩堂奇譚』古道具屋、慈恩堂がらみの、ちょっと不思議なお話。
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